第4章 クロユリ *
「.........なるほど。」
恵の複雑な気持ちは良く分かる。
ご馳走は日に日に美味しそうになっていくばかりだしね!
それじゃあ、こうしようか。
「.....それじゃあ、僕と一緒に寝る?」
僕の胸に顔を埋めたままの桃花の耳元に声を落とす。
『えっ!悟が一緒に寝てくれるの?うん!寝る-!ずっと一緒に寝てくれなかったから嬉しいっ!』
埋めていた顔をパッと上げて嬉しそうに言う桃花。
「はい、それじゃあ決まりね。まぁ、寝かせてあげられるかは、分からないけど。」
桃花の手を引いて歩き出す。
『?徹夜で桃鉄でもするの?』
「ん〜?それよりもっと楽しいこと..っと、」
桃花の手を引いて歩き出したのに何かにクンと引かれるような感覚に足を止める。
「..........................ちょっと待て............俺と寝るんだろ..っ....」
桃花の反対側の手を恵が掴みながら言う。
お、作戦大成功だ。
『え!一緒に寝てくれるの?!恵、大好き-!』
僕の手を呆気なく話して恵に抱き着く桃花。
空いた右手が少し淋しく感じるのは気のせいかな。
「桃花、良かったね-!恵、摘み食いは駄目だからね-。」
「.....!しませんよ!」
顔を赤くして怒る恵の横で何を言っているのか分かっていない様子の桃花がキョトンとしている。
あまりに無垢なのも罪だよね。
桃花は純粋過ぎて恵は本当、大変だ。
「はいはい、それじゃあ仲直りしたところで本題良いかな〜?」
パンパンと手を叩き僕がここへ来た目的をやっと伝える。
「2人で仙台、行って来て?」