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呪術廻戦 -桜色の瞳-

第8章 ライラック *




棘先輩が口の端を舐め、少し顔を離してジッと私を見詰める。
綺麗な瞳から目が離せない。
そのまま棘先輩の顔がゆっくりと近付いて...。

『.......................................っ....!』


唇が重なった。


柔らかな唇は触れるだけで離れて、スグにまた重なる。
今度は食べるように口付けて、チュッとリップ音と共に離れ、最後に私の唇をペロリと舐めた。

『.....っはぁ....ぁ、の....とげ....せんぱ....ぃ.....?』

ドキドキし過ぎて上手く言葉が出てこない。
重なるだけのキスなのに息が上手く出来ない。
この心臓の音でどうか恵が起きませんようにと、不思議と焦りにも似た感情が沸く。



「.....俺にもチャンスがあるって思っても良い?」



声を潜め、私を真っ直ぐにみつめる。
普段、語彙をおにぎりの具へと絞っているため、滅多に聞くことのない棘先輩のきれいな声。
突然の言葉に驚きを隠せない。

『.....ぁ、のっ....えとっ....ぇと.......。』

私の頬をするりと撫でるとまたくすりと笑う棘先輩。

「......桃花......」

『.....ぁ.....』

何度も訓練してきた身体は棘先輩が小さく息を吸った段階で分かっていた。
けれどもこんな至近距離で回避する術はなくて。



「 お や す み 」



その言葉を最後に、私は深い眠りへと落ちていた。



「好きだよ、桃花。」



その言葉と共に再び口付けられたことは、私はずっと知らないまま...。


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