第8章 ライラック *
『それでね!明日の日曜日に急遽、皆んなで海に行くことになったんだよ!』
その晩、寝巻きに悟のTシャツを着て、悠仁に貰ったぬいぐるみを抱っこしながらベッドでコロコロと横になりお風呂上がりで髪をワシワシと拭く悟に話し掛ける。
「海!?そんなに人の多い中、桃花を裸同然で外になんか出せないよ!?」
またお父さんみたいな事を言い始める悟。
『悟、心配し過ぎだよ...。もう子どもじゃないんだし!皆んな一緒だから大丈夫だよぅ!』
「いや、心配だから僕も行く。」
『明日大事なお仕事があるって言ってなかった?』
「.......ぐぬぅっ!!伊地知ビンタ!!!」
『伊地知さんいじめたらだめ-!』
抱えていたぬいぐるみの両手を持って、それで悟をパンチする。
「.......それじゃあ明日桃花が悪い男に捕まらないようにおまじないさせてよ。」
ベッドに片膝を付いて私の頬に手を添える。
悟の手は大きくて、温かくて。
いつも安心するんだよ。
子供の頃から大好きな手。
『おまじない?』
「そ。 お ま じ な い 。」
そう言うと首筋に顔を埋めて耳の後ろ辺りにチュウっと吸い付く。
『ひぁっ...!な、なに?』
「言ったでしょ?悪-い男に捕まらない為のおまじない♡」
そのまま私をベッドへと押し倒す悟。
恥ずかしくてぬいぐるみで顔を隠した。
Tシャツの裾から大きな手が滑り込んで来て、キャミソールと一緒に胸の上までたくし上げる。
就寝前で何も着けていなかった胸が悟の目の前に晒される。
『.....っ、さと、る.....恥ずかしぃ、ょ.....。』
「ココにもおまじない♡」
胸に手を添えて蕾のすぐ横にチュウっと吸い付く。
『......っ、はぁ......。』
「こっちもね♡」
もう一方も同じく吸い付いて、紅い小さな花を咲かせる。
「桃花は色が白いから良く映えるね。」
恥ずかしくて顔を覆っていたぬいぐるみを悟が取り上げて私の眼を覗き込む。
「......桃花......キスしようか.....。」
『.........ぇ........ンッ......。』
深く唇が重なる。
何度も角度を変えて食べるようにして口付ける悟。