第7章 千日紅 *
記録__2018年7月
西東京市 英集少年院
運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生4名が派遣され
内1名 死亡
side 伏黒恵
「我々の“窓”が呪胎を確認したのが3時間前。避難誘導9割の時点で現場の判断により施設を閉鎖。「受刑在院者第二宿舎」5名の在院者が現在もそこに呪胎と共に取り残されており、呪胎が変態を遂げるタイプの場合特級に相当する呪霊に成ると予想されます。」
補助監督の伊地知さんから現状の説明を受ける。
(特級...!)
俺と桃花、釘崎に緊張感が走る。
「なぁなぁ、俺特級とかまだイマイチ分かってねぇんだけど。」
緊張感の走る中に虎杖の呑気な声が響く。
俺と釘崎の呆れた顔を見て桃花が『まぁまぁ』と苦笑いで俺達2人を宥める。
「それでは、バカにも分かるように...」
虎杖に対し、等級について丁寧に説明してくれる伊地知さん。
「ヤッベェじゃん。」
少しは理解した様子の虎杖。
「本来、呪霊と同等級の術師が任務に当たるんだ。今日の場合だと五条先生とかな。」
「で、その五条先生は?」
キョロキョロと辺りを見渡しながら虎杖が聞く。
「出張中。そもそも高専でプラプラしてていい人材じゃないんだよ。」
「この業界は人手不足が常。手に余る任務を請け負うことは多々あります。ただ今回は緊急事態で異常事態です。“絶対に戦わないこと”特級と会敵した時の選択肢は“逃げる”か“死ぬ”かです。自分の恐怖には素直に従ってください。君達の任務はあくまで生存者の確認と救出であることを忘れずに。」
伊地知さんの言葉にまた空気がピンと張り詰める。
「.....それより桃花さん...?」
『何でしょうか、伊地知さん!』
伊地知さんが桃花の方を向いて困ったような表情で話し掛ける。
「.....桃花さんはこの任務に呼ばれていないはず...なのでは...?」
「「え?!そうなの?!」」
虎杖と釘崎の声が重なる。
そう、そうなんだよ。
俺は知ってたけど...。