第6章 マリーゴールド *
『______み?...ぐみ.......めぐみ?』
桃花が俺を呼ぶ声で目を覚ます。
目の前には携帯を向けた3人の顔がある。
「............?」
「やだぁ〜、恵くんったら一体どんな夢見てたの〜?」
五条先生が頬に手を当てながら気持ち悪い声で言う。
「ほんと、ほんとぉ〜!伏黒くんのえっち!破廉恥!」
虎杖も五条先生の真似をしながらのっかる。
「アンタ、桃花の名前呼び過ぎでしょ。一体どんな目で見てんのよ。てか、いい加減離れれば?」
「...............は.........?」
あれ、俺寝てた?
てかまさかまた変な夢見てた?
全然覚えてねー。
てかいい加減離れればって...
冷静になって今の状況を見れば、俺は桃花の肩にもたれ掛かりながら、しっかりと手を握っていた。
「.....っ!悪い....っ....」
身体を起こしパッと手を離す。
「アンタずっと桃花の手握ってたんだからね。サイテー。」
釘崎がジト目で俺を見る。
『ちょ...ちょっと...!皆んなからかい過ぎだよぅ。寝言で私の名前を何回か呼んでたのは本当だけど...それ以外は何も言ってないよ?静かに寝てた!』
寝言で桃花の名前何回も呼んでたのは本当なのかよ。
慰めになってねー。
「まっ、恵を揶揄うのはこれくらいにしておいて。到着したことだし、向かいますか!旅館!」
五条先生が車から降りながら言う。
後で絶対殴ってやろう。
『伊地知さん、ありがとうございました。』
伊地知さんはまた明日迎えに来てくれるそうだ。
車から降りると見渡す限りの自然。