第1章 壱〜出逢イ〜
風呂を済ませたあと少女を銭湯に入れてくれた娘と別れ
詰所に戻る途中で紅丸が口を開いた
紅丸「紺炉」
紺炉「ん?どうした紅」
紅丸「こいつ、こんなボロボロの服のままじゃあれだろ...」
紺炉「あー、そうか。そうだな、呉服屋寄ってくか」
少女「??」
不思議そうな顔をした少女を連れて呉服屋に向かった
途中で色々な人に声をかけられたが火鉢が言ったのか
男が言ったのか、少女はすでに街の人々に知れ渡っていた
「可哀想にねぇ、親が見つかるといいわねぇ」
「言葉が分からないんだったら俺が教えてやるぜ!」
「今の時代珍しいもんでもねぇからな、気にすんなよ!」
皆それぞれに言葉をかけ誰も少女を"傷つけなかった"
紅丸「ババアいるかー」
紺炉「もうちょっと礼儀正しく出来ねぇのか...」
女「なんだいなんだい。紅ちゃんと紺ちゃん揃ってお買い物かい?」
紺炉「いや、こいつの服を見繕ってもらいたくてな」
紅丸「お代はあのクソジジイに付けとけ」
女「その子...街で噂になってる子だね?まぁまぁ可哀想に、、あ!そうだ、どうせなら髪もやってあげましょう」
床屋の主人とは仲良いのよと言いながら
少女に似合いそうな着物を並べていく女主人
紅丸「ん...これがいい、、と思う」
紺炉「これか?女の子にはちと渋いんじゃ...まぁ俺もこれは気に入ったが」
女「これだから男は嫌だね!もっと桃色とか黄色とか選んであげなさいよ」
紅丸と紺炉が選んだ着物は
深い青の袴に白い花や線などが入った
凛とした女性なければ浮いてしまいそうなほどに
綺麗な着物だった
女「短くしたりすることはできるけど...」
少女「......ゥ!」
女「??どうしたんだい?着物を指さして」
少女「ウゥ!ゥ!ゥ!」
まるで、これがいい!と親に買い物を強請る子供のように
指をさし目を輝かせる少女
女「本当にこれでいいのかい?まぁ、本人が言うなら仕方ないねぇ。今どきの女の子らしく、少し手を加えるよ。時間がかかるだろうから今はこれで我慢しておくれ」
そう言っておさがりの着物を差し出した
紺炉「まさか、俺たちがこれがいいって言ったから...か?」
紅丸「好きな色で選んじまっただけなんだが...」
少女「ゥ!」
少女は言葉こそ話せないが
選んでもらえて嬉しい!と言っているような気がした
