第1章 壱〜出逢イ〜
紺炉「これはまた......なんというか、、」
火鉢「こいつは言葉も喋れねぇうえにこんなだ。色々面倒だろうが頼んだぞ。紺炉」
少女「ウウゥ!!」
紅丸「大丈夫だ。見た目はいかついが優しい奴だ。......怒らせなきゃな」
少女「ゥ?ゥ!」
紅丸「見て回るか?...いや、まずは風呂だ」
紺炉「あの子、紅にはやけに心開いてますね。」
火鉢「食いもんの恩だろ。...俺はこいつについて聞いて回ってくる。お前は紅丸とこいつを連れて銭湯行ってこい。隣の娘も連れてけ」
紺炉「へい。お気をつけて」
火鉢「あぁ」
火鉢は聞き込みをしに外に出た
一連の流れを聞いていた紅丸が口を開く
紅丸「おい紺炉、早く行くぞ」
紺炉「そう急ぐな。あと隣の嬢ちゃん呼んできてくれるか?」
紅丸「分かった。」
紺炉「悪いな。」
紅丸が出ていき2人きりになった
少女はまだ紺炉を警戒しているようだ
紺炉「おい、嬢ちゃん」
少女「っ!......」
無言で見つめている
心の奥まで見透かすような真っ直ぐな目だった
紺炉「そう警戒すんな。大丈夫だ、そうだ腹減ってんだよな?金平糖だけじゃ足りねぇだろ。ちょっと待ってろ」
少女「...?」
少しだけ奥に引っ込み再び出てきた紺炉の手には
屋台で出されていた焼きそばがあった
紺炉「さっき食おうと思って買ったやつだ。まだ手ぇつけてねぇから平気だ」
少女「...ゥ」
紺炉「?どうした?」
少女「ゥゥ!!!!」
物凄い速さで焼きそばをたいらげていく
紺炉「腹減ってたんだな......(まだ紅と同じくらいじゃねぇか、可哀想にな...)」
頭を撫でる紺炉
最初は警戒した少女だったが
害がないと分かると少女は目を細め気持ちよさそうに
うつらうつらとしはじめた
紺炉「眠いか?寝てもいいぞ。ずっと気を張ってて寝るどころじゃなかっただろ」
その言葉を聞き少女は意識を手放した
紅丸「おい、紺炉。連れてきたぞ、って...寝てんのか?」
紺炉と紅丸は少女を起こさないように
そっと抱え、詰所を後にした