第1章 壱〜出逢イ〜
火鉢「女ァ?酔っ払って見間違えたんじゃねぇのか」
男「い、いいや!あれは本当に女の子だ!それも紅ちゃんと同じくらいのちいせぇ女の子!」
火鉢「この騒ぎのせいで迷子になったのか...?それにしても威嚇するたぁどういうこった」
紅丸「そんなことより...放っておいていいのかよ。急いだ方がいいんじゃねぇか?」
男「そ、そうだ!すぐ近くの川辺にいたからまだいるはずだ!」
火鉢「仕方ねぇ...見に行くか。」
紅丸「俺も行く。」
火鉢「あぁ?お前は紺炉呼んできて見回りしてろ!」
紅丸「行く!......なんか変な感じすんだよ!」
火鉢「...(野生の勘ってやつか、、)だったらびびって逃げんなよチビ」
紅丸「誰が逃げるか!それに俺はチビじゃねぇよクソジジイ」
そんなやり取りを続けながら辺りを警戒する2人
目に映ったのは...
──騒がしい声と明かりから離れ1人月を見上げる少女だった
火鉢「......おい、こんなとこで何してんだ。親は」
少女は応えない、応えられない
火鉢「おい...『お前喋れないのか?』...紅丸」
紅丸「こいつ、多分喋れねぇ」
火鉢「じゃあどうやってここまで来たんだ。ってそれも答えられねぇってことか...いい加減こっち見たらどうn...っ!」
近づこうとした火鉢に向かって先程の男にしたように
威嚇する少女
火鉢も紅丸もこんな少女は見たことがなかった
紅丸「........腹減ってんのか」
火鉢「あ?」
紅丸「......(ゴソゴソ、カランッ)こんなのしかねぇが」
そう言って差し出したのは色とりどりの金平糖だった
少女「...スンスン、ゥウ?」
紅丸「あぁ、食っていい」
少女「ゥー!」
初めて食べる金平糖に目を輝かせ
先程とは打って変わって年相応の顔をしている
言葉以外は
火鉢「お前なんであいつの事わかんだ?」
紅丸「しらねぇよ。ただなんとなくだ」
火鉢「同じ野良犬だからかもなぁ?」
紅丸「いちいち一言多いんだよクソジジイ」
火鉢「ともかく、お前そんなんじゃいくら夏でも死ぬぞ。詰所に来い」
少女「ゥ!」
火鉢「言葉は喋れないが、理解は出来んのか...」
詰所に着いた時の少女は少し警戒しつつも
柔らかい女の子の顔をしていた