第1章 壱〜出逢イ〜
祭囃子が耳に入る。
太鼓や人々の声が響く。
今日は浅草で縁日が催されている
そんな祭囃子のほど近く
緩やかに流れる川辺に少女はいた
細い四肢に伸びっぱなしの長い髪
服はみすぼらしくボロボロ
酔っ払った男が近づく
男は少女に言葉を掛けた。
男「おまえさん、こんらとこれなにしてんらぁ?」
呂律が回っていない
少女は応えない、答えるすべを知らない
男「お〜い」そう言って近づこうとした時
少女は牙を剥き、眼を見開き
まるで獣のように唸り声をあげ男を威嚇した
少女「ヴヴヴゥ!!」
男は驚き逃げ出した
本当に喰われそうなほどだったからだ
男は逃げ、そして少女はまた1人になった
騒がしい祭囃子を耳にしながら
逃げた男が浅草の長
新門火鉢とその息子新門紅丸に少女の事を話していた事を
少女は知らない