第7章 紅蓮に燃ゆる
そう言って笑顔になる可愛い女の子、もとい神様。
『すみません!神様だと知らず無礼な振る舞いを、』
良いのよ!これくらい!あ!そうだ!とっておきにあなたの願い事叶えてあげる!この前のお礼よ!
『え、今も助けていただいているのに、そんな、』
いーのよ!あなた気に入ったの!またその球に願ってくれたら叶えにくるわね!
じゃあねー!
ぷつん、
『‼︎杏寿郎さん!!あっ!杏寿郎さん!起きて!杏寿郎さん!!』
きょ さ
きょう ん!
杏寿郎さん!!!
つ!!
『うたた寝している間にこんな事態になっているとは!よもや、よもやだ!柱として不甲斐なし!穴があったら入りたい!!』
焔のような闘気が杏寿郎さんから出ていた。
『憂!無事であったか!君のおかげで目醒めた!礼を言う。だが!ここは危険だ!ここに身を潜めていてくれ!』
『はい!!御武運を!』
鬼殺隊として柱として闘う姿に、ドキリとしてしまう。
車内は気持ち悪い物になっていた。
怖くて目を瞑る。杏寿郎さんの声だけが聞こえる。
高速で移動しているようだ。
『頑張って、杏寿郎さん!!』
どの位そうしていただろう。
急に汽車が大きく傾いてそこで私の記憶は終わっていた。。
目が開いた時には外に投げ出されていた。かすり傷程度で周りの状況を見る。皆んな無事な様だった。
『ここにいる者は誰一人として殺させん!!』
大きな声がして、そちらに走り出した。
目にしたものは杏寿郎さんが鬼と対峙しているであろう姿。
目に見えぬ速さで闘っていた。近くにいた炭治郎くんに近寄って行くと刺された傷があった。
止血はしてあったようで血は止まっていたが私は持っていた包帯で
簡易手当をした。
『杏寿郎さんは強い。大丈夫。大丈夫!!』
そう自分にいい聞かせて、彼を見守る。
杏寿郎さんはもうボロボロだった。
もうやめて、闘わないで、言えるなら言ってしまいたい。
だが最後に繰り出した技により爆風が起こり見えなかった。
目を開けた瞬間サァッと血の気が引いた。
鬼の手が杏寿郎さんの腹に刺さっていた。杏寿郎さんの刀も鬼の頸に入り最後の最後まで心を燃やしていた。
朝日が登る、炭治郎くん達が走り出す。私も送れて走り出した。
その背中をあなたを抱きしめるために。