第7章 紅蓮に燃ゆる
炭治郎くん達の技が鬼に掛かる前に
鬼は刀を折り腕を千切り逃げ出した。
炭治郎くんは鬼に向かって怒っていた。
その声を遠くで聞いてるかの様に杏寿郎を抱きしめた。
『杏寿郎さん、っお疲れ様でした。皆んなあなたの、貴方達のおかげで生きています。立派に、っ守られてっ、、きょ、っじゅろっ、』
涙が出る、目の前が霞む
彼の痛々しい姿、それでも懸命に話していた。
『最後になるから話しを聞いて欲しい。』
炭治郎くんに火の呼吸の事
千寿郎くんとお義父さまの事。
『憂、約束守れそうにない。すまなかった。子供達にも不甲斐ない父ですまないと、、もっと一緒に居たかったと
憂も幸寿郎も瑠莉も愛していると、伝えて欲しい。
泣かないでくれ、君の涙が1番堪える。』
『…だ、ィヤだよぉ、、お願い、逝かないで、ぉ願い。私達を置いていっちゃヤダっひっ、、杏寿郎、愛してる。死なないでお願いだから!!目を開けて!!』
朝日が登り鬼の手が消え血がドクドクと流れ出る。
止血しないと、懐から手拭いを出す。
チリンっと藤の匂い袋が落ちた。
‼︎
お願いします!神様!私の大事な人を、愛する人を助けてください!!!
私の人生最後のお願いです、杏寿郎を、助けて!!!
ぎゅっと握った球が光を帯びて浮かび上がる。
---その願い聞き届けたぞ。
チリンッ、
光の球は杏寿郎の腹部に落ち傷を癒していった。
炭治郎くん達は何が起こったか分からず固まっていた。
(神様、ありがとうございます)
『っ、ぅ、俺は、、‼︎腹の傷が治っている!ハハハっ、憂、母上に会った。褒めて下さったが、大事な者たちを置いてくるのは私だけで充分だとの事だ。よもや、泣かないでくれ、
君の涙が1番堪えると言っただろ?』
『今だけはお許しください。杏寿郎様、お帰りなさい!!』
それから杏寿郎さんは蝶屋敷で目の手術をした。
やはり左眼は見えなくなってしまったが
生きているだけで良かった。柱は引退する事になった。これからは継ぐ子を育てたり隊士を鍛えたりと育手に専念する様だ。
私としては嬉しかったりもする。不謹慎だけどあの時神様が助けてくれなかったら
今ここに杏寿郎は居ないのだから。
『憂?一緒に帰ろう。皆んな待っている。』
『はい!杏寿郎さん!』
貴方の赫く燃ゆる焔に染められた私。