第5章 朝の空は何色ですか?
『昔はよくあの顔でねだられたんだ、可愛い弟だったので俺も甘やかしてしまった。まぁ、鍛錬があった故本当に小さな時だけだったが』
『杏寿郎さんは今も昔も良き兄だったのですね』
微笑ましい光景を思い浮かべた。
朝餉を終え洗い物をしていると小さな手が服をは引っ張る。
『どうしたの?2人とも』
『ははうぇ、きょーはじーじとせんにぃとちゃんれんしゅる!こうもちゅよくなりゅ!』
『りゅりも!めぇーん!するの!じーじとゆったの!』
小さな2人はフン!フン!言いながら目をキラキラさせていた。
『えー、どうしよう今日は父様と母とお出掛け行かないかの?』
しゃがんで目線を合わせて聞いてみる。
すると後ろから槇寿郎がいつの間にか来ていた。
杏寿郎さんもそうだけど音もなく現れると心臓に悪い。
『今日は2人とも私が見よう、憂と杏寿郎は久しぶりに2人で過ごしなさい。夕刻まで帰らんでいいぞ、
2人ともじぃ様と一緒に鍛錬だぞ!競争だ!』
きゃー!と楽しそうな声を出して去っていってしまった。
あっという間の出来事に後ろから声を掛ける事しか出来なかった。
『ふ、不甲斐なし、』
『穴があったら入りたいのか?』
ビックー!!『杏寿郎!ビックリさせないでよ!、あっ!』
『ハハハっ!すまない、昔の憂に戻ったな!父上から話は聞いた!今日は、恋仲の時の様に共に過ごそう』
私の手をとり口付ける。異国の童話の王子様の様な振る舞いにドキドキしてしまった。
『顔が赤いな、早く支度をせんとな。暴れてくれるなよ、』
膝の裏に腕を通しそのまま横抱きにされてしまい、離れまで運ばれた。