第5章 朝の空は何色ですか?
母屋に向かうと両腕に孫を抱いたお義父様に出会った。
『すみません、いつもいつも、こら2人ともおいで?』
2人に手を向けるがイヤイヤとぎゅうっと腕にしがみ付いていた。
『気にするな、私もチビ達と居れて嬉しいからな、』
なんともデレデレしていた。
孫が可愛く無いわけがない、ましてや自分達の後を継ぐかもしれない血縁だ。
『幸寿郎は杏寿郎に似ているな、立派になるぞ! 瑠莉は憂さんに似て別嬪さんになるな!楽しみだな!!』
そう言って2人を、連れて居間に行く。
『父上もあの子達のお陰で酒をやめてくれたな。昔の様な父上に戻ってくれた。と言ってもあんなデレデレはしてなかったがな!』
『そうね、本当に良かった。瑠火さんもきっと喜んでると思う。』
『そうだな、この間瑠莉が教えてくれた。「じぃじが、ばぁばお空にいるからあさはあいさつにおいでってゆったのー!」って、だから毎朝母上に挨拶してるんだな!なんだか嬉しいな!本当に!』
心から幸せだとその表情が物語っていた。
そんな彼の隣にいれて、私も幸せだ。
『『ちちうぇー!ははうぇー!ごはんだょー!』』
大きな声に呼ばれて2人は急いで向かった。
『ぴーまはやーー!なぃないよー!ねー?』
『ん"ー!ないないよー!』
今まさに、ピーマンが行ったり来たりを繰り返していた。
2人とも苦いの嫌いなので、ないないと言って私や杏寿郎さんのお皿に置いて行く。
私は皿に戻し食べさせようとし、杏寿郎さんはうまい!うまい!と食べてしまう。
困ったものだ。今はまだ小さいから多めに見てあげようかな、
『幸寿郎!瑠莉!千寿郎兄さんが作ったご飯、美味しくないのか?』
コテンと、首を傾げ目を潤ませた、千寿郎。
『『せんにぃー!ごはんおいち〜!ぴーまもたべりゅ!ないちゃめ!』』
!!!その場にいた大人3人がビックリした。
千寿郎が双子にピーマンを自ら食べさせる様に誘導した手口に。
こっちを、見て照れ臭そうに笑うのはいつもの彼だった。
『よもや、千寿郎の必殺おねだり顔は健在だったのだな。驚いた。久しぶりに見たな。うん。』
『必殺技??』
『小さい頃よく使われていたな!懐かしい!!はっはっは!』