第1章 嫉妬の色は何色ですか?
杏寿郎side
憂の使っている部屋の中へ入ると
綺麗に片付いている机と着ていた白衣が掛けてあった。
机の上には随分と使い込まれた簪があった。
鬼殺隊に入りたての俺が初めて送った物だった。
白から黄色橙紅へとグラデーションがはいり
燃える様な紅と真っ白な球が付いている。
君と俺の様だと思い
君へ贈ったのは内緒だ。
それから暫くたって新しい物を贈ったので
こちらはもう使われてないと思っていた。
『憂はまだ大事にしていてくれたんだな。』
心が温かくなるのを感じ
早く会いたいと気持ちが早るのだった。
病室かもと思いそちらに足を向ける。
中には隊士しか居なかった。
俺を見て目を輝かせていた。
(うむ。どうしたものか、)
はっきりした性格の彼だが
さすがに女性にはキツく言って泣かせたいわけではない。
(泣き顔は憂だけで充分なのでな!)
『目が覚めたか!君が無事で良かった!』
(さすが俺の憂だ!適切な処置が良かったのだろう!うむ!)
などと思っているうちに、彼女は勘違いをしていた。盛大に。
「今日はありがとうございました、煉獄様に助けていただいて
私こんな物でしかお返し出来なくて、
近くに寄っていただけませんか?」
話をまったく聞いていなかった杏寿郎、やって欲しい所だけ聞いたらしく
無傷な方の腕を首に回されてしまった。
その光景を見られているなどつゆ知らず。
寸でのところで
『む!何をするか!さきに言っておくが、俺は好いている人がいる!恋仲だ!君は誤解していると思うが、ここにいるのは憂を、探していたからだ!ハッキリ言おう。
俺には憂だけだ!諦めてくれ。』
それだけをデカい声で伝えて部屋をでた。
残された彼女は鳩もビックリな顔をしていた。
『困りますよ!煉獄さん、うるさくされては他の患者に迷惑です。』
廊下をズンズン歩いていると胡蝶から怒られてしまった。
『すまない!!』
『話を聞いてないですね、はぁ、まぁいいです。憂なら帰りましたよ、』
『何!それはいかんな!追いかけねば!』
『憂に例の物預けてありますから、あんまりうちの子いじめないでくださいね!』
『うむ!善処しよう!すまない!ありがとう!』
ドンという音と共に消えていった。
『わかっているのでしょうか、はぁ』