第1章 嫉妬の色は何色ですか?
杏寿郎side
最近気付いた事がある。
隊士の中でもこの女子が付き纏っているという事実に。
最初は偶然だと思っていたが
余りにも不自然過ぎる所で出会う。
気にもしていなかった為
噂になって居るなどと思ってもみなかった
『憂に逢いたい。抱きしめたい。』
もう1週間以上触れていないなぁ、など思っているうちに
鎹鴉から任務に駆り出されていた。
そこでまたあの隊士が出てきた。
鬼と対峙している最中に起こった。
鬼の数が多く一般隊士だけでは被害が出そうだと言うので
駆けつけた際何を思ったかこの女子が
『煉獄様ー!』と寄って来た急な出来事と剣の間合いに入られ彼女の後ろの鬼が彼女を盾にした。
その際に出来た怪我だった。鬼を全て片付け隠達と共に負傷者を運んで来た。
彼女もその他と同じ様に。
蝶屋敷も怪我人で溢れかえっていた。
その中最愛の君を見つけた。
軽傷者に手際良く手当てをして声をかけていた。
男達は先程まで痛いだの泣き事を言っていたのに
こんなのかすり傷です!と何故かカッコつけている。
赤くなるやつまでいる。
(よもや、よもやだ。)
自分の容姿には興味がないのか見慣れているのか
もっと自覚して欲しい物だ。
『まだ負傷者は、いるか?』
近くの隠に尋ねると
「炎柱様ー!この人言う事聞かなくて!血も出てるから早く
胡蝶様か憂様に診ていただきたいのに
動かないんです!!!」
そう言って隠の目線にいる者を見やると
(また此奴か、だが隊士を死なせる訳にはいかない!)
そう思い声を掛けるのもやめて抱き上げて憂のもとへ
目があうと瞳が一瞬揺れた。
すぐに腕の中に目線が行きテキパキと指示をだす。
そんな彼女を誇らしくも愛らしく思っている。
窓の外に鎹鴉が見え
憂にまた連絡するといい残し外へ出た。
それから報告やらをしていたら
あっという間に日暮れになった。
『憂はまだいるだろうか、うむ!行って夕餉でも誘うか!
あとあの隊士にも灸を据えねば!』
思い立ち憂のいるであろう部屋へと向かう。