第1章 嫉妬の色は何色ですか?
その後どうやって診療室に戻ったのか
気付いたら椅子に腰掛けていた。
『憂?お疲れ様、帰らないの?日も暮れるわよ?』
灯りの付いている部屋を覗き込んだしのぶ様。可愛い。
『今帰るところです!!しのぶ様はまだお仕事ですか?』
『えぇ、まだ少しやる事が、』
『無理なさらないでくださいね!お先に失礼します!』
『憂も気をつけて、煉獄さんにもよろしく伝えてくださいね?』
『?(瓶のことか!)はい!』
『頑張ってね、憂』
そう言って楽しそうに仕事に戻っていった
(頑張って??今日届けた方がいいのかなこれ?)
さっと着替えて小瓶を手に取り、最後に彼女の様子見て帰ろうと病室の扉に手を掛けた時
中から話し声が聞こえてきた。
『目が覚めたか?君が無事で良かった!』
聴き覚えのありすぎる声で、
最近聞いていなかった優しさと強さのある声が
(杏寿郎?なんで、)
ドクンと嫌な音を立てる胸を左手で握りしめて
震える右手を扉から離した。
「今日はありがとうございました、煉獄様に助けていただいて
私こんな物でしかお返し出来なくて、
近くに寄っていただけませんか?」
艶のある声、女であれば分かりやすすぎる好意を含んだ声色
隙間からみたのは、無事であった方の腕で首に手をかけ引寄せている所
嫌だ、と素早くこの場を去った。
走り過ぎたのか、さっき見た光景のせいなのか
呼吸が鼓動が酷く乱れている。
全力を出し切り、街の入り口で座り込む。目の前が歪んでいた。
『うわっ!?憂じゃねえか?腹痛いのか?』
『宇髄様?』
『っ!?どうした?鬼にでも追われたのか?ってか煉獄はどうした?』
煉獄 と言う言葉を聞いて我慢していた物が溢れ出した。
声を押し殺して泣く私にこの派手な色男は
ビックリしながらも慣れた手付きで抱きしめてくれた。
『取り乱してすみませんでした。奥様方もいらっしゃるのに。』
『いいって、なんなら俺の嫁に来るか?ド派手に迎えてやるぞ!』
『ふふっ、こんなカッコいい人に言われたら誤解しちゃいますよ』
『冗談じゃねぇんだけどなぁ』ボソ
『?蝶屋敷から全力で走って来たら疲れちゃって涙でただけです!'
鬼にもあってませんよ!心配かけました!』
『嘘だろうけど、聞かないでやるよ、』
そう言って髪をぐしゃぐしゃにされた。