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貴方の色に染めて[鬼滅]

第25章 藤の華に揺れる〜❷ 〜


ふふっと笑い合う2人を見て杏寿郎は本人なんだがと思いつつも、
いつまた消えてしまうか分からないので
知らないフリをしておいた。

それから数日経ち子供達とも打ち解けた
まさかこの様なカタチで実子に触れ合えるとは思わなかった。

そして、木の棒を咥える日が来ようとも思わなかった。

『グレンは棒を取るの上手いわね、猫じゃ無いのかしら??』

『グレン!いくよー!それっ!!』

弧を描いて飛んで行く枝を空中でキャッチする。
そんな遊びをし始めたのだ。

子供が投げるので予測不可能な飛び方が
鍛錬の様だと思った。

『あっ!!ごめんね!変なとこいったー!』

カランカランと木の乾いた音の先には
冨岡が経って居た。

『(むっ!冨岡久しぶりだなっ!)にゃお、にゃーお。』

下を見ると猫が居た。暫く見つめ合う1人と1匹。

『…憂、猫がいるぞ。』

『冨岡さん、その子家に住んでいるの、今日はどうしたのですか?』

『…この間の返事を聞きに来た。』

チラッと猫を見て、憂の顔を見つめる。

『あ、えっと、まだ、考えさせてくれませんか?』

『…おまえはまだ、…そうか、分かった。また出直そう。』

『(?2人に何かあるのか?)にゃー!!』


子供達の頭を撫でてから門を出て行く姿を憂は見送った。
縁側に座り外にある藤の木を見上げる。

『…杏寿郎さん、どうしたらいいのかな、まだ貴方の事こんなに大きく心の中にいるのに。冨岡さんはそれでもいいって言ってくれるの。子供達も懐いて居るけど…決まらない。』

『(⁉︎冨岡、憂に思いを告げたのか。…憂俺はお前に幸せになって貰いたい。)にゃぁ…』

するりと身体を擦り付ける。

『グレン、、杏寿郎さんに会いたいよ、声が聞きたい。』

ポタポタと着物にシミを落とす。
こんなに近くにいるのに、抱きしめる事すら出来ない。
頬に落ちる雫をチロッと舐める。

『(俺はここにいる!憂と子供達の幸せを考えれば良い!俺とは、また来世で夫婦になってくれ!)にゃあ、にゃあ!!』

『‼︎慰めてくれるの?賢い子ね、いい匂いになったね、お日さまの香りだ。』

お腹の辺りをくんくんと嗅ぐ。
お風呂嫌がらずに寧ろ気持ちよさそうに入ってくれていた。
いい猫ちゃんだ。
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