第25章 藤の華に揺れる〜❷ 〜
「にゃっ!!(どうなっている?俺はたしかに死んだ筈だ。まさかあの池に落ちたから、猫に?何故猫?…とは言え、また逢えたのだな。)にゃーぅ。」
すりすりと手に擦り寄る身体が猫の様に勝手に動く。
『可愛い!!ご飯あるから食べてね?』
『かーさまズルイ!私も!』
『おれも触りたい〜!!』
猫に手を伸ばす2人の頭を優しく撫でる憂
『まずはご飯を食べさせてあげなさい。あなた達もご飯よ?お腹いっぱいになったら遊んで貰いなさいね』
(ひとまず撫でくり回されなくて済んだな、我が家も久々だ。飯もうまい!味は薄いが、素材の味が活かされるな!クンクン…!この匂いは!!)
ご飯を平らげ匂いを辿る
『あっ!にゃんこ!』
『どうしたのかしら?足りなかった??』
『その猫焼き芋が食べたいのでは?先程から涎を垂らして見て居ますし…』
皆の視線を浴びつつも本能なのか、美味しそうな匂いに釣られてしまう。
『お芋なら大丈夫よね、はい、ゆっくりお食べ』
手の上に乗った黄金色の芋に食いつく
「!!んにゃい!!にゃっにゃい!(うまい!わっしょい!)」はぐはぐ
猫の泣き声に憂と千寿郎と槇寿郎の動きが止まる。
『っ、この猫ちゃん、杏寿郎さんみたいですね、お芋が大好きみたいですし…』
『…本当ですね!姉上、もっとあげましょう!』
『…あいつは猫より獅子だがな、まぁ、奇妙な猫だな、』
杏寿郎は大好きなさつまいもに夢中になっていた。
お腹がいっぱいになると睡魔が襲ってきた。
憂の側に寄り添い丸くなる。
優しく頭を撫でられ意識が沈んでいく。
次に目が覚めた時には薬品の臭いがした。
『んー、特には怪我も病気もなさそうなので、このまま飼われるのでしたら一度お風呂に入れてあげた方がいいでしょう。汚れを落としながら痛い所ないか見てあげてくださいね、』
『しのぶさんありがとうございます。猫苦手なのにすみません。』
『いいんですよ、ただ猫は得意で無いのですが、その子は何故だか平気で不思議なんです。』
憂膝の上で丸くなる猫を見て懐かしそうに目を細める彼女を見て同じ気持ちになった。
『この仔、お芋が好きなんです。杏寿郎さんを思い出してしまいました。似てるんですかね、』
『確かに!そう言われて見たら!似てるかもしれないですね!』