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貴方の色に染めて[鬼滅]

第23章 藤の華に揺れる〜❶〜


『杏寿郎様、あの時、宇髄様が近くに居たのに気付いていて続けたのですか?手紙に書いてありました。ヒドイです。私はいっぱいいっぱいでした。あんな恥ずかしい姿見られたなんて///』

『宇髄からは見えない様にしたから大丈夫だ!声は冨岡も聞こえていたと思うぞ!』

『〜〜〜私もう恥ずかしくて生きていけません!』

『それは困るな!俺が守ろう!憂は大切な恋人だからな。安心して任せてくれ!』

『恋人ですか、、杏寿郎様、私なんかでは杏寿郎様には釣り合いません。今日の事に責任を負わなくていいです。私は前にお話しした通りこの藤の花屋敷で鬼狩り様達のお力添えをして行くのです。』

『…それは憂の本心なのだろうか、』

『…はい、そうです。』

『君が俺の事を好きだと言った事。心が通じ合ったと思ったのだが。憂は釣り合う釣り合わないなどで決めつけてしまえるものなのか?』

先程より低い声色、ピンと張り詰める空気。
居心地が悪かった。好きだけではどうしようも無い現実。唯の平民が恐れ多くも煉獄家には嫁ぐ事など誰が許すのであろう。
それに傷の件、それに私は異国の血が混じっている。
もっと家柄のいい綺麗な人がきっとお嫁さんに来てくれる。

『きっと杏寿郎様のお父様が許さない筈です。杏寿郎様、私は人生で一番幸せでしたよ、傷のある私は誰にも求められずに一生を終えると思って居ました。思い出になりました。…ありがとうございました。』


深々と頭を下げる。杏寿郎の顔を見るのが怖かった。
無言の空間に、杏寿郎の短くて吐く息の音が聞こえ

『分かった。君がそこまで言うのなら…』

『御理解いただきありがとうございます。そろそろ戻りましょうか、冨岡様が待っていますよ』

作った笑顔は崩れていないだろうか、ちゃんと今まで通りに笑って居られるだろうか、
痛む腰と初めての体験にズキズキ痛む現実をなかった事にしようなんて出来るだろうか、
先を行く私の背中に熱い視線を向けているなどつゆ知らず
冨岡の作った昼餉を食べ始めた。
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