第23章 藤の華に揺れる〜❶〜
『杏寿郎様!おはようございます。朝早くどうなされましたか?』
『憂おはよう。冨岡、その手はいつまで握っているんだ?憂が困っているだろう。早く離すといい。』
『…困ってはない。煉獄こそ、こんな早くにどうしたんだ?』
『宇髄に、冨岡が憂に迷惑を掛けていると聞いて来た。』
2人の間に妙な空気が流れて居た。
『あ!あの!!杏寿郎様はもう朝餉を食べられましたか?まだでしたらご一緒にいかがですか?あと冨岡様離してください、ご飯がよそえませんので、』
手を離してもらい、杏寿郎の方を見ると優しい顔になっていた事にホッとする。
『突然来たのでお茶だけで大丈夫だ。』
『お!煉獄早かったな!』
『宇髄、君の言った通りだった。礼を言う。』
『礼なら他の事で頼むわ、憂おかわり!』
『…ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"(うまいな。)』
『杏寿郎様、良ければ芋羊羹がございます。召し上がってください、弟さんとこの間街で出会いまして、お茶に付き合っていただいちゃいました!凄く可愛くてキュンキュンしてしまいました』
『憂は甘露寺に似たような事を言うのだな!』
『甘露寺さん?とはどなたですか?』
『…甘露寺は女性だ。煉獄が大事にして居た(←継ぐ子だから)』
大事にしていたと言う事を聞いたり千寿郎くんとも仲が良いとなればその人と恋仲なのかもしれない。
実際私達は付き合っても居ないので、ただの顔見知りにしかならない。
チクリと胸は痛んだが、彼等には使命がある。
私はここで鬼と闘う彼等に出来る事をするだけ。
それにこんな傷物の私は貰い手なんてつかない。
それに、こんなに惹かれる人に出会える事この先無いと思うから。
『私、片付けして来ますので、何かありましたらお呼びくださいね』
逃げる様に部屋を後にした。