第23章 藤の華に揺れる〜❶〜
『なっ///なっ、、』
顔を真っ赤にして口をパクパクさせる
『?どうした?金魚の様になっているぞ?む!サツマイモ入りの汁だな!うまい!わっしょーい!!!』
『(煉獄様には何とも無い事なんだわ。)…お食事お口にあったようで良かったです。そんなに喜んで貰えると、とっても嬉しいです!』
にっこりと笑う憂の顔に見惚れていた。
『憂さんは此処に3人で住んでいるのか?』
おかわりを貰いながら聞いてみた。
『煉獄様呼び捨てで構いませんよ、…私がまだ4才位の時に鬼に襲われてしまったの。両親は私を庇ってくれて、亡くなってしまったけれど煉獄様のお父様に私は助けていただきました。』
間に合わない事も多い。救えない命も。救えた命ですら危うい時もある。
『憂は頑張って来たのだな。』
『祖父母が居たので、それにまた命の恩人に逢えたら、ちゃんと御礼が言いたかったのです。今度お父様にお会いしたいです!』
『…憂の願いを叶えてやりたいのだが、母が亡くなってから父は塞ぎ込んでしまった。』
大きな瞳が揺らいだ。
『そうでしたか、お父様はお母様を愛していらっしゃるのですね、
お会いしたかったです。』
愛しい者が無くなるのは痛い程にわかる者だからこそすんなりと心に入ってくる。
『父には話しておこう。そしていつか此処を訪れられるようにする。約束だ!』
太陽の様に笑う笑顔に私も頷く。
『お酒もどうぞ、お呑みください』
藤の花の描かれたお猪口に冷酒が注がれる。水面が揺れ中の花が揺れている様だった。
『憂は呑まないのか?一緒にどうだ?』
『お恥ずかしいのですが、お酒好きなのですが、すぐ赤くなってしまって…』
きゅっと徳利を握りしめ節目がちに恥ずかしがる姿はとても愛らしかった。
『いっぱいだけ付き合ってくれないか?憂の赤くなる姿も愛らしいと思うのだが、』
『そんな風にからかって、御人が悪いです!でも一杯だけならお付き合いします、お猪口持ってくるので呑んでいてくださいね、先に空いたお皿も下げて来てしまいます。』
カチャカチャと皿を積み上げ持って行く憂を見て早く戻って来て欲しいと思ってしまう自分に笑った。