第23章 藤の華に揺れる〜❶〜
洗い物もしていたのだろう、少しして足音が近づいてくる。
『すみません、遅くなってしまいました。肴になる物を作って来ました、』
憂にも酒を注ぎ共に酒を呑む、言っていた通り白い肌がピンク色に染まり始めた。
その姿は先程までの愛らしい姿ではなく艶めかしい物だった
『憂は本当に酒に弱いのだな、』
『言ったではありませんか〜、すぐこうやって赤くなるので外ではお酒口に出来ないのです。』
『そうだな、やめた方が身の為だな、(妖艶な姿に手を出す輩もいるだろう)』
『家でも1人で呑むことがたまにあるくらいなので、きっと一生このままですよ、』
自虐的に言うとお酒を呑み干す。
『いい呑みっぷりだ!ほら今宵は気の済むまで呑みなさい、1人より2人で呑む酒の方がうまい!!』
『煉獄様は本当に人柄が良いですね、多くの人に慕わられていらっしゃるでしょうね?』
『杏寿郎で構わない。少なからず隊士達には嫌われては居ないと思うが鍛錬になった途端に人が来なくなるので良く分からないな!はっはっは!』
『杏寿郎様の鍛錬は厳しい物なのでしょう、でもその苦労あってこそ実を結ぶのをまだ他の人は知らないのでしょうね、』
『そう言ってくれるのも、弟と憂位のものだ!』
『弟様もいらっしゃるのですね、羨ましいです!ひとりっ子なので
兄弟が欲しかったのです。叶わなかったですが、』
『兄弟が出来ずとも、自分の子供に叶えてやれば良いではないか?』
『それは、叶わない事なので…私片付けをして来ますね、煉獄様ももうお休みになられてください。楽しいひと時をありがとうございました。』
指先を揃えて頭を下げ皿などをさげて心なしか足早に去っていった。
何も考えずに発した言葉が、彼女の笑顔を消してしまった。
『呼び方が戻ってしまったな、よもや、よもやだ。触れてはいけない事だったか。』
窓を開け夜風を入れる。乾いた髪、肩に掛かる手拭い、施された刺繍に口付けをひとつ。
丸い月が輝いていた。
洗い物をし、憂は考えていた。
『失礼な態度を取ってしまったゎ…明日きちんと謝ろう。お風呂に入って寝てしまおう。』
しゅるしゅると帯を取っていく、着物は沢山羽織ったり巻いたりと未だに慣れない。
洋服を着る事もたまにありその時は開放的になる。
髪を纏めあげ最後の一枚を脱ぐ