第23章 藤の華に揺れる〜❶〜
『煉獄杏寿郎と申します。』
『…!!!煉獄様!もしやお父様は槇寿郎様でしょうか?』
『はい、父の名です。』
お祖父様と煉獄様が話して居るのを聞いていて思い出した、
『煉獄様にこんな立派な御子息様がいらっしゃるとは、私達はお父様に命を助けていただいたのでございます。お父様は御息災で?』
『…はい、今は引退をして私が引き継いでおります。』
一瞬だが困った様に見えた。
『あっ!!と言う事は、煉獄様は鬼狩り様なのですね!迷惑でなければ、今日の御礼として、お泊りください!こんな所なのであまり鬼狩り様達がいらっしゃらないのです』
私は初めての藤の家紋としての仕事だと思い張り切ってしまった。
そんな私の姿を見て煉獄様は笑う。
『うむ!もう日も落ちてしまったので一晩いいだろうか、』
『はい!ご案内致しますね!』
いつの間にか荷物は中に運ばれて居た。
客室へと案内をして、私は湯浴みがすぐできる様に浴衣を用意した。
『小さいながらも温泉がございますので、お入りください。夕餉は準備して居ますので、上られる頃にお待ちしますか?』
『憂さんも一緒に食事を、してくれると嬉しいのだが、
どうだろう?』
『もちろん喜んで、お酒もご用意致しますね、ごゆっくり行ってらっしゃいませ。』
指を揃えて頭を下げ部屋からさがる。
襖を閉め夕餉の準備に向かうとお祖母様がご飯を炊いていた。
『お祖母様献立何がいいかしら?』
『今日買って来てくれた鯛で今鯛飯を作っているからねぇ、サツマイモは天麩羅にして端の方は小さく切ってお汁に入れましょうかね?』
『天麩羅久しぶりだから嬉しい!野菜切るね!』
『私もあの人も年寄りだからねぇ、今日は沢山作るよ、煉獄様の息子さんだから沢山食べるだろうね』
『うん!お祖母様、また煉獄様の事聞かせてね?』
『…あぁ、さっ!早くつくるよ!』
お祖母様の懐かしむ様な哀しみを含んだ目を見てあまり聞いてはいけないのだと、感じてしまった。