第23章 藤の華に揺れる〜❶〜
彼女の指指す方を見ると後輪の金具が取れていた。
まだ少し荷物が残っているのを見ると厳選したのだろう。
『ふむ、もう金具も下の部分も朽ちているので直せはしないが、一緒に運ぼう。済まないが名前を教えて貰えないか?』
ハキハキと喋る彼に好感を抱く、
『姫月憂と申します。貴方様のお名前は?』
『煉獄杏寿郎だ!ほら、荷物を貸しなさい。』
『(何処かで聞いた様な…)あ、すみません。』
『俺が荷車を引いて歩くので君は失った車輪側を平衡に持ってくれるだけでいい。ただ道案内は頼みたい!』
『助かります!頑張りますのでよろしくお願いします!日もだいぶ傾いてしまいました、殆ど一本道ですので、大丈夫だと思われます。』
杏寿郎は荷車を軽々と引いて行く、
『煉獄様は力持ちなのですね!凄いです!こんなに進むとは思って居ませんでした!』
『普段から鍛えているので、このぐらいは朝飯前だな!!』
離れた距離でもちゃんと聞こえる声量にちゃんと聞こえていると思うと耳までいいのだと感心して居た。
ぎゅるるるとお腹が鳴ってしまい後ろで恥ずかしそうにした。
『よもや、可愛い動物の鳴き声かと思ったら姫月少女の腹の中にいたか!』
『そんなに大きな音でしたか?!〜〜それに私は少女と言う年齢ではもう無いです。』
後ろを振り向くと頬を赤く染める顔が見えた。
『(どうみても、可愛らしい少女なのだが、)失礼でなければ年を聞いてもいいか?』
『…20です。』
『ん"っ!それは失礼した、もう素敵な女性だな!』
『バカにしています??もう御人が悪いんですから。』
ぷんぷんと頬を膨らませる姿はやはり少女の様だと思った。
歩いていると藤の家紋の屋敷が見えた。
『(こんな所にもあったのか、今度立ち寄らせてもらおう。)』
『煉獄様!!此処です!ありがとうございました!良ければ寄って行ってください!』
『君の家だったのか!!ふむ、なるほど、縁はある物なのだな。』
後半は口に手を当てぶつぶつと言っていたので聞こえなかったが
『あ、もしかして藤の家紋知って居ましたか??』
私達の姿が見えたのか中から祖父母達がやってきた
『憂!遅かったから心配したんだよ!』
『ごめんなさい、荷車が途中で壊れてしまって、こちら困って居た所を助けていただいたの。』