第21章 吾輩は猫である。名前はマシロ
千寿郎くんとキッチンに立つ、手際の良さに思わず見惚れる。
楽しそうにご飯を作る彼女と弟。
好きな者が2人仲良くしているのはとても良かった。
マシロとソファー越しにジーと見つめる。
気付いた憂が写真を撮る。
小さな猫と大きな猫がこちらを見ているようであった。
『私達見張られてるみたいね、ホラ。』
『可愛いです!マシロにもご飯あげちゃいます。』
持ってきた物をお皿に移すと気づいたのかすぐに来た。
その間にカレーを盛りトッピング用の目玉焼きやらほうれん草やらを持っていく。
杏寿郎も運ぶのを手伝う。
3人でご飯は久々だった。相変わらずの杏寿郎と嬉しそうな千寿郎
その隣でマシロがご飯を食べる。
この家が久しぶりにあったかい気がした。
『兄上、僕お風呂沸かしてきますね、憂さんご馳走様でした!』
『今日はこっちに泊まって行かない?皆んなで寝よう?』
『!!!憂いいアイディアだな!和室に布団用意しよう!』
『お願いね、千寿郎くん、パジャマとか取ってきちゃって?お風呂も用意しておくから』
『わかりました!用意してきますね!』
にゃんと!今日は千寿郎と寝れる!そうと決まれば!
マシロは、お気に入りのタオルを咥えて杏寿郎のいる和室に行く
ふと布団の配置を見て横1列になっている。どこに千寿郎が寝るのだろうと見ていると、気付いた杏寿郎が声を掛ける
『マシロは千寿郎と寝たいのか?タオル貸してみなさい。』
にゃおんと鳴き杏寿郎に任せる1番入口側だった。
枕元にタオルを鳥の巣状に置いてくれたがそうでは無かった。
不服そうに見ていると後ろから手が伸びて来る。
子供のように抱かれ肩越しから揺れる髪にじゃれつく、クチャクチャとしているとそっと剥がされる。
『むう、食べ物ではないといつになれば分かるのだ。頭のいい猫でも本能には抗えないのか?』
しっとりともみあげが濡れている杏寿郎が困った顔で見ていた。
そこへ千寿郎が戻ってきて久々に一緒に入った。
3人ともお風呂を上がればいい時間帯になる。
『マシロ、おいで、』
千寿郎の横で丸くなりタオルを掛けてもらう。
ぴったり寄り添う姿に、2人は密かに悶えていた。