第21章 吾輩は猫である。名前はマシロ
『んっ、杏寿郎、どこ触って、アっ!』
『触るのはダメとは言われてないからな、』
思い出に浸ってたのに。コイツらは発情期の猫か!!
初恋が実って私も嬉しいけども。
時間大丈夫なのか??
ニャー、と鳴くとくっ付いていた身体がびくっと動く。
タシタシと尻尾を叩くのはケータイの上
『杏寿郎!私もう行かないといけない時間!マシロありがとうね!』
チュっとおでこにキスされる
杏寿郎も行くと思いきやまだ居た。突然抱き上げられると杏寿郎の顔の前でプラーンとさせられた。
『マシロは賢いな、もう何年も経つのに変わらず綺麗だな、』
優しく笑うこの顔はまぁ、嫌いじゃない。
『杏寿郎?家帰って着替えた方がいいんじゃない??』
『そうだな、マシロ、またな。』
ニャー、扉の閉まる音はいつだって慣れない。
暖かい日差しの下寝転がる。お腹を温めてから背中を暖める。
いつからか昼間遊びに来ていた猫もあまり見かけなくなった。
自分より大きかったあの猫はもう居ないのかもしれない。とか
同じくらいの猫はどうしているかとか。
考えてしまう。どうしたって人間みたいに長生き出来ないこの身体。
大事にしてくれる憂をひとりにさせられないと思っていたが、杏寿郎と結ばれた今。本当にひとりなのは私だと思った。
小さな頃は憂と杏寿郎、千寿郎と遊んだ。
今だって頻繁に向こうの家に行っている。
初めて煉獄家に行った時同じ顔が3つで慌てて瑠火の後ろに隠れたのを思い出す。
2人よりも怖い顔、猫嫌いそうな顔。だけども違った。寝てる私の横に来てはチラチラ見やる。写真を撮ったり、撫でようとしているのかソワソワした手
見ていて煩わしいので自分からその手に戯れついた、
ビックリした目がこちらを見つめたが瞬時に細められた。
この家の物はこうして笑うのだなと思った。
ここへなら憂を任せても大丈夫だとも思った。