第20章 熱い先輩と冷たい後輩
『憂準備出来たから帰ろうか、』
気がつけば制服に身を包んだ彼が手を差し出す。
一瞬迷うが呆気なく繋がれてしまう。部室の施錠をし、鍵を返して帰宅する。
付き合いだしてから毎日見慣れた景色と温もりと一緒に行動している。
『実は、今日の出来事は宇髄から聞いていた。君から話してくれるのを待っていたのだが、そんな顔をするな、彼女達にはハッキリと言って置いたから。もう嫌がらせも無くなるだろう。』
自分がどんな顔で聞いていたのかは分からなかった。
感情豊かでは無かったので。
『…ありがとう、』
『ん、礼を言われるとはな、小言のひとつでも飛んでくると思っていたが、今まですまなかった、今日は家にくるだろ?美味しい芋羊羹を貰ったので一緒に食べよう!』
『嫌って言っても連れて行くクセに、』
芋羊羹に嬉しそうな表情の杏寿郎を見て目を細めて笑う
『憂は笑った顔が美しいな!可憐だ!俺はいつまでも隣で憂を見ていたい。』
『…っ!あまり、恥ずかしくなる事言わないでください。もう、私もずっと太陽の様な杏寿郎の笑顔の隣に居たいです。』
恥ずかしくなり俯きながら伝える、ぶんぶんと繋がれた手を子供の様に振られ隣を見ると赤面してどこかを見ている杏寿郎がいた。
そのまま煉獄家へと帰って行く。
と言っても私はそのお隣の家で現在は1人と1匹暮らしだ。
なので良く食事の際にはお隣に招待されていた。
煉獄家は家族を大事にしている。私の飼い猫までご飯をくれる。
専用の食器も揃い、自分の家の様だった。
『着替えてから行くね、、んっ、、はぁ、』
『先につまみ食いさせてくれないか、?』
ぺろっと唇を舐められ、私の家の扉が閉まる。