第20章 熱い先輩と冷たい後輩
私の通う学校には熱苦しい先輩がいる。
『姫月少女!また怪我をしたのか!』
『………』
『血が出ているな!消毒をしないとな!!さぁ、こっちへ来るんだ。』
グイグイ引っ張られて着いた先は保健室。
放課後の為先生は不在で開かなかった。
仕方ないのでまたグイグイ引っ張られて着いた先は部室だった。
無駄に歩かされた。
もう部室には彼の荷物しか残って居なかった。
ガチャリとカギが閉められる。
『なんでカギしたの?』
『憂、また君は怪我をして、、違うな、怪我をさせられたのか、』
哀しい色をした瞳が私を映す
『煉獄先輩、名前呼びになってます。』
『また君はそう言って、今は2人きりだから問題ないだろ?』
『…そうですね、』
私の頬に手を当てる、そこは少し赤みを帯びていた。ヒリヒリとした感触は消えたが、顔は叩かれるもんじゃない。
『で?この綺麗な顔に傷を付けたのはどこの誰だ?』
目の色が一瞬で怒りの色に染まる。
『転んだんです。』
『つくなら、もう少しマシな嘘を吐きなさい。また彼女達か?』
思い当たる人物達がいた。ずっと付き纏われているのだが
女子に手は出さない主義なのであしらって居たのだが、
何処からか俺と憂が付き合っているのを入手したらしく
憂をいじめている。
だが、いじめられている憂は他人事の様に振る舞いされるがままだった。
『弱い者イジメは煉獄先輩が嫌うでしょ?』
『だが、やられたままではつけ上がるだろう?エスカレートしている。彼氏としては見過ごせない。』
無表情の憂が僅かに眉間にシワを寄せる。
『私はちゃんと仕返ししてる。心を折る一言ちゃんと言ってるから、やられっぱなしじゃない。』
『そうなのか、唇も少し切れてるな、俺の大事な憂の顔に傷付けた事後悔させないとな。』
『煉獄先輩、早く着替えて帰ろう。お腹空いた。』
『憂、2人きりの時は"杏寿郎"だろ?』
ニコニコしてるが額には青筋が立っていた。
私なんかの為になここまで怒ってくれる人は中々いない。
こんな冷たい人形の様な私を、杏寿郎だけが愛してくれる。