第19章 ヒメゴト⑤[女の子の日]
両親はいつまでもラブラブだ、私も将来は…
ダメだ、お兄ちゃんに恋している時点で私には両親の様な夫婦にはなれない。
ぽふっと毛布に倒れ込む、熱くなった身体が熱を失って行く
(周りに言えなくても私は幸せ。大丈夫。)
ガチャリと玄関で音がする。
『ただいま帰りました!』
大きな声が響く。お迎えしようと立ち上がるとドロっと中から血がでた感覚と貧血でその場に蹲る。
(汚れて無いよね?下が気持ち悪い。)
『憂?大丈夫か!?顔色が悪いぞ、』
いつの間にか側に来ていた兄にソファーに座らせられる。
『杏寿郎、憂は女の子の日なのです。病気では無いので安心しなさい。』
『!そうか憂!おめでとう!ゆっくり休むんだぞ』
くしゃりと頭を撫でると、部屋へと行ってしまった。
ママによるカミングアウトで気は楽になった。
トイレに寄って自分の部屋に一度戻る。
コンコンとノックされると杏寿郎が立っていた。
『ん?どうしたの??』
『さっきより顔色はいいな』
『うん、でも大丈夫!あったか毛糸のパンツ履いたから!ホラ』
ペラっとめくって見せる。
『うむ。温かそうだが、そんな簡単に見せてくれるな、憂明日出掛けるのは延期しよう、家で映画でも見よう。』
明日は水族館へ行こと予定していたが、お腹が痛くなれば迷惑かけてしまうので杏寿郎の気遣いにキュンとし抱きつく。
『本当大好き!なんでこんなカッコイイの、ママに似たのぉ?』
『そうだな、母さんに似たのかもな、下へ行こうか、ご飯になるだろう。』
『うん!一緒に行こう!』
仲良く下に降りると御馳走が並んでいた。
『さつま芋料理がいっぱいだね!杏にぃ嬉しそう。』
『うむ!腹が減ってるので早く食べたいな!』
『兄さん、憂、座って待ってて、もう揃うから』
いつもの様に席に着き並べられた料理を見て嬉しい気持ちになる。
愛されている家族がいて、大好きな人がいる。
幸せだとおもった。