第18章 アナタの心を知りたくて
あぁ、何でこうなってしまったんだろ。
こんな筈じゃ無かった、笑顔で逢いたかった。
抱きしめて欲しかった。
逢えなかった日を埋めたかっただけなのに。
それすらも出来ないの?
思わず家を飛び出してしまった。
『あ、またケータイ持ってくるの忘れちゃった。はぁ、杏寿郎のバカ』
近くの公園のブランコに乗る。キィーと軋む音がする。
事の発端は帰宅して突然家を空けた事を謝った事が原因だった。
そんな事で喧嘩になるなんて思いもしなかった。
『謝る事は無い!君は母でも家政婦でもないんだ!居なくともちゃんと生活出来ていたしな!作り置きに助かった!ありがとう!
だが、もうこれからはしなくていい、君の負担になるだろうから。君の為に時間を使うべきだ!』
杏寿郎は私を労ってくれてると思うけども言い方になぜかイラッとした、したくてしていた事を否定された。
負担でも何でもない。生活して行くうえで必要だからしていた。
喜ぶ顔を見たいからやっていた。
お礼が言われたい訳じゃない。分かって貰えない。
価値観が違うのだ。
そう思ったら、この先やっていけるのか不安になった。
『こんな事で喧嘩してモヤモヤして我慢して行くの?無理じゃない、仕事が順調ならそっちを取るべきかな。』
夜の気温もだいぶ下がって来て身震いしていると肩に上着が掛けられる。
『急に出て行かれると心配するだろ、風邪を引くから早く帰ろう。』
『杏寿郎…うん、話があるの、聞いてくれる?』
『っ…あぁ、逢えなかった分沢山充電させてくれ。』
手を繋ぎ家に帰る。