第18章 アナタの心を知りたくて
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『え?今なんて言ったんですか…』
『だから、2年!こっちで暮らしてみないかですって!今憂へのオファーが殺到してるの、このチャンスを逃したら勿体ないわよ!どう?契約期間が2年!頑張ってみない?』
『急な事でビックリしてますが、少し考えさせてください。』
『きっといい刺激になる、社長からもお祝いメッセージ来てるし、ウチの事務所も頑張って来た甲斐があるわ!』
ホテルの窓の外を眺める、
(帰って杏寿郎と相談しよう、あの女の人も気になるし、)
『あと!明後日帰国するからね!日本でもメディアに引っ張り凧よ!あとね、分かっているとは思うけど、ゴシップだけは気を付けて、今まで以上に大変な思いをするかも知れないの。私はアナタを信じてるからね、』
『……分かっていますよ、今までだって気を付けてましたし、大丈夫ですって!』
笑顔が引き攣る。
(やっと帰れる事喜んだのに、釘を刺されてしまうなんて、)
溜息が漏れる。仕事と恋愛を天秤に掛けられる程まだ私は培って来ていない。
両立できるか分からない。
杏寿郎とのこれからを考える、彼は笑顔で応援してくれる。
でもきっとそれは、別れを意味する。
『離れたく無いな、…一緒に居たい、』
溢れ出る涙に視界がボヤける。
ベッドに倒れ込み目を閉じる。
いつも太陽みたいな笑顔と大きな声、初めて繋いだ手も痛く無い様繋いでくれた。初めてのキスも同じくらい顔を真っ赤にするから可愛いと思ってしまった。私の全部が貴方を知っているのに。
本当の気持ちは知らなくて
いつも私を優先してくれるから、
貴方の心が分からなくなる。
ただ、
貴方の心が知りたいだけなのに。