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貴方の色に染めて[鬼滅]

第18章 アナタの心を知りたくて


飛行機の中遠い昔に想いを馳せる


まだ鬼が居てそれを狩る鬼狩りが居て
平和な日常を夢見ていた頃。
想いあっていても、一緒になれる事の方が稀だった。
私もそのひとりであった。大好きだった杏寿郎お互い惹かれあって居ると知りながら、継子である私は恋心に蓋をした。

無限列車の事件を堺に私は壊れていった。
想いも伝えられずに継子と言う立場に甘んじて微温湯に浸り過ぎていた。
棺の中の彼は綺麗な顔をしていた。
最後まで私の恋心は伝えられないまま消えて行ってしまった。
もう何も感じなくなってからだった。
音柱と一緒に仕事をする様になり、宇髄は声を掛け続けてくれた。
柱にはなれないと、御館様に伝えると、考えておいて欲しいとだけ言われた。

誰も私をせめない、最愛の人を亡くす哀しみを皆経験しているのだ。
任務で多くの隊士の命を奪ってしまった時に宇髄に頬を叩かれた。

"煉獄は今のお前を見て褒めてくれるのか?継子として誇れるのか?!あの世でお前の不甲斐ない姿見て悲しんでぞ!煉獄への冒涜だ、今のお前は、煉獄杏寿郎の継子なんかじゃねえよ"


沢山の人を守り抜いてこの世を去った杏寿郎。
私は貴方の様な人になる為に継子になった。

私は貴方と共に生きたかった。
お慕いしてると伝えたかった。
私の心は貴方だけの物だから、私の死ぬ時まで待って居て。
次逢える時にはこの気持ちを伝えるから。
私は杏寿郎の仇である猗窩座との闘いで力尽きた。
薄れゆく意識の中で杏寿郎の声がした。

"よく頑張った!それでこそ俺の認めた子だ!生まれ変わって君が忘れていても、俺が必ず探すから、安心して待っていてくれ!"


そして今回言った通りに杏寿郎が見つけてくれた。
高校の合格発表の日、帰ろうとしていた腕を引かれた時はビックリしたけど
あの時の杏寿郎は控えめに言っても格好良かった。
剣道をやっている姿もご飯を食べている時も、些細な瞬間も全部、宝物になった。

『少し距離を置いたら分かるのかな…』

暗闇の中の上空は、泣きたくなる程綺麗だった。



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