第16章 獅子と猫の鬼ごっこ[恋仲編]
『ん、あれ?ここは、っ、いったぁ、』
身体を起こしたかったが、身体中が痛い。
『憂!目覚めたか?3日寝ていた、動けなくもなる。ちょっと待っていろ。』
羽織りの裾を摘むと杏寿郎が振り返る
『杏寿郎さんありがとう。あの日の事忘れてしまってごめんなさい。』
『!…やっと、思い出してくれたか、君はあの後俺の事をすっかり忘れてしまい、俺は父上に稽古をつけて貰っていたから、随分離れてしまっていた所、あの男に横恋慕されてしまって、ここまで来るのに大変だった。あの頃は守れなかったが、もう弱い俺ではないから、約束通り、迎えに来たぞ憂!』
泣きそうな顔で笑うから、
『杏寿郎さん、こんな私ですが、よろしくお願いします。』
そっと口付けられる。
長かった、たった1人の運命の人に出会うまで----