第15章 獅子と猫の鬼ごっこ[お付き合い前]
『暫く来ないうちにまた虫が増えたな。』
周りに目を向け手にして居た男を離すと、仲間の1人が慌てて引きずって帰って行った。
『大丈夫か?憂?』
差し伸べられた手を取っていいのか悩んでいると腰を持ち上げられ椅子に降ろされた。
『怖かったな、遅くなってすまない。最近は忙しくて来られなかった。』
しゃがみ込み私の手を握る。
『ありがとうございます。
大丈夫です、煉獄さんとわたしは何でも無いのに、、なんで、』
きっと泣きそうなのはさっきの事が怖かったからだ、
『なんで、来たの、っ』
俯いて顔を見せない様に問う
『俺は憂を好いていると言わなかっただろうか、君に悪い虫がつかない様に通っていたんだが、ここ数日は任務に駆り出されて居て来られなかった。』
ぽんぽんと頭を撫でてくれる。だけどまだモヤモヤは晴れない。
『この間、町で煉獄さんを見掛けました。』
『よもや、声を掛けてくれたら良かったのだが、』
『女の人と仲良くしてるの邪魔出来ませんでした!!』
声が大きくなってしまった。こんな感情的に言うつもりじゃ無かったのに。
『女性と?『ピンク色の!可愛らしい方でした』
煉獄の言葉を遮って主張する。
さっきの事もあり興奮状態になってしまっている、
(どうせダメならもう、全部吐き出しちゃおう…)
『とてもお似合いでした。私よりもあの方と一緒になった方がいいと思います。…私には煉獄さんは勿体無いですよ、っだから、!』
ぎゅっと抱きしめられて目の前が金と赤で埋まる
『すまない、不謹慎だと思うが今とても嬉しいんだ!』
『なっ!私の話聞いて居ましたか?!』
『勿論だ!憂は嫉妬してくれているのだろ?俺が他の女性と仲良くしていて君は可愛くもヤキモチを妬いてくれた。自惚れてもいいのだろうか?憂?』
今度は綺麗な焔色の瞳と目が合う。