第15章 獅子と猫の鬼ごっこ[お付き合い前]
朝から体調が優れなかった。
ぽーっとするけど動けない程ではないと判断し
風邪薬を飲んで開店の準備をしていく。
『今日は冷えるからお汁粉も用意しようかな。あとはいつもと同じでいいかな、朝ご飯とお昼用にさつま芋ご飯を炊いて、お汁もさつま芋入れてみようかな、おいも沢山収穫出来たけど終わるかな、』
祖父母の残した畑のさつま芋がまだ沢山ある
暫くは続きそうだと覚悟した。
ご飯用に炊き上がったさつま芋ご飯が甘く良い匂いが家の中に充満する。
お漬物を用意して軽めの朝食が出来上がった、いただきますと食べようとしたところ外から声がした。
『憂!起きているか!おはよう!』
『煉獄さん、こんな朝早くどうしたんですか?あと、静かにしてください。』
『すまない!今任務が終わりよってみた!!何やらいい匂いがするな!!』
『もう少し小さな声でお願いします。…今ご飯を食べようとしてたんです、まだでしたらご一緒にどうですか?』
『良いのか!?喜んでお邪魔させていただく!!鴉くん!家に行って千に朝は大丈夫だと伝えてくれ、』
『(鴉が伝書鳩代わりなのかな?)狭い所ですがこちらでお待ちくださいね、』
もう使う事は無いと思っていた茶椀や箸を出す。軽く洗ってから持って行く。
ソワソワと大きな目がキョロキョロと部屋を見渡していて可愛いと思ってしまった。
『お待たせしました。どの位ご飯盛りますか??』
『大盛りで頼む!』
『お口に合えばいいですが、、、はい、どうぞ召し上がれ』
ホクホクとした芋と艶々とした米に胡麻が振りかけられている。
甘い香りと共に一口食べると、もちもちのご飯と甘い芋少し塩が効いていて美味かった。
『わっしょい!』
ご飯を口に含んだ彼の目がキラキラとし、頬を少し染めたかと思ったら何故かお祭りの時に聞く掛け声を発した。
あまりの唐突な言動にむせてしまった。
『っケホっ、煉獄さん?急にどうされたんですか?』
『わっしょい!わっしょい!うまい!おかわりをくれ!』
『はい!量は?』
『大盛りでお願いしたい!さつま芋の汁もうまい!!憂は本当に料理がうまいのだな!!』
料理を褒めてもらうなんて随分と久しぶりだった。
煉獄さんを観察しているとどうやらさつま芋を食べてる時だけ"わっしょい“が出る事がわかった。