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貴方の色に染めて[鬼滅]

第15章 獅子と猫の鬼ごっこ[お付き合い前]


『もう!いい加減にしてください!毎日毎日抱きついて来て///
御近所さん達に揶揄われるんですからね!!』


大きな獅子が私を後ろから抱きしめる、
この男、
煉獄杏寿郎
と言うらしい。
私達は恋仲ではない。


『仕方ないだろう!俺は憂を好いている!早く俺のものになってはくれまいか!』

ぎゅっと力が入り柔らかい髪をすりすりしてくる。

『そんな恥ずかしい事を大きな声で言わないでください!!あといい加減離してください!仕事になりません!』

猫ならシャーッと威嚇していたと思う。
周りからはまたかーと笑われてしまい
常連の人達は見慣れてしまっていた。

『早く憂の作ったさつま芋ご飯が食べたい!!』

『勝手に言ってて下さい!お団子出しませんよ?せっかく新しくさつま芋の蜜団子を作ったのに。要らないんですね!他のお客様にあげてしまいましょう。』

ガバッと離れて席に着いた煉獄さんを見ると
怒っているのもバカらしくなる。

『憂俺の為に作ってくれたのか!ありがとう!早速頂こう!!…っ!うまい!うまいぞ憂!流石俺の嫁だ!』

『嫁ではありませんが、喜んでいただけて良かったです。私は仕事に戻ります』

『うむ!憂は働き者だ!早く嫁に来い!』


『……冗談ばっかり、』
彼に背を向けて出た言葉は誰にも聞こえなかった。


また来ると言い残し去って行く彼
嵐が去ってまたいつもの日常に戻る。


私はこの甘味処の店主だ。
1人でやっているので先程の様にされてしまうと店が回らなくなる。

小さな頃両親が他界し祖父母とこの甘味処兼自宅で過ごして来た。
祖父母も2年前祖母の後を追う様に祖父も天寿を全うした。

家族の残したこの場所だけが私の居場所だった。

お客さんも来ていてくれている方だし
最近は冷やかしの客もぱったり来なくなり順調だった。


ただ、すごく強面の男性がおはぎをいつも買って行く。
いつも作り方を熱心に聞いてくるので自分でも作るのだろうか、

今度餡子を売ってあげようかと思っている。



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