第33章 ハッピーイースター〜春待ちて
(っ…何でこんなことに!?)
ーちゃぷっ…
「あ、あのぅ…信長様?」
「んー?」
ーちゃぷっ…
ーチュッ…チュウゥ…
「んんっ…あっ、んっ…」
濡れ髪を掻き上げられ露わになった首筋へ強く吸い付かれて、思わず余裕のない声が漏れてしまう。そうすると湯殿の中ではドキリとするほど声が響いてしまい、その恥ずかしさから思わず身を縮こまらせたのだが、逞しい腕にぎゅっと包み込まれる。
「んっ…やっ…」
湯船の中で後ろから抱き締められながら羞恥で熱くなる顔を見られまいと俯く私を信長様が許してくれるはずもなく、俯いたせいで更に無防備になった頸(うなじ)へ尖らせた舌が這う。
「の、信長さまっ…んっ…」
(ダメっ…こんなの、拒めない。すぐにのぼせてしまいそう)
「貴様の声は心地良いな。身体の奥の深いところまで響くようだ」
「っ、やっ…」
「もっと聞いていたいが…」
そこまで言うと、信長様は徐ろに私を抱き抱えて湯船を出た。
「きゃっ…」
「先に身体を洗ってやろう。続きはその後だ」
「やっ…大丈夫です、自分で洗えますから。あの、急にどうなさったのですか?そんなに気を遣って下さらなくても…」
「気を遣っているわけではない。これは…貴様への褒美の内だ」
「ほ、褒美?何の?」
洗い場で檜の椅子に座らされ、信長様に背中を向けた私は思いがけぬ言葉に驚いて振り向いた。
(わっ…)
振り向いた瞬間、信長様の鍛えられた肉体、厚い胸板が視界に入ってしまい胸の鼓動が激しくなる。
「忘れたのか?一番手柄には褒美をやると言っただろう?」
たっぷりと泡立てたシャボンを纏った信長様の手が緩々と肌を撫でていく。肌を滑る優しい手付きが心地良くて、快感に溺れてしまいそうになる。
「っ…はぁ…あれは…一番手柄は…私だけでは…」
確かに例の卵は見つけたが、見つけたのは私一人ではなく家康と一緒だった。しかも政宗に手掛かりを聞いた後でもあったので公平な勝負ではなく、一番手柄の話はなかったものと思っていた。
「私一人で見つけたわけでは…家康も一緒でしたし…っ、だから一番手柄とは…っ、言えないんじゃ、んんっ…」
話の間にも肌を這う悩ましい手の動きに敏感に反応してしまう。