第28章 ちぇんじ〜俺が貴様で貴様が俺で
「……おい、忘れているようだがそれは俺の身体だぞ。……っ、おかしな真似をするな」
キュッと眉を顰めて険しい表情になるのは『私』の姿の『信長様』で……
(忘れてた…今の私は『信長様』だった。信長様が頬を押さえて恥ずかしがる…って、確かに違和感ありすぎる)
慌てて頬から手を離し、その場で居住まいを正してはみたが……
「そうは言っても…これ、本当にどうしたらいいんですか?このままずっと元に戻らなかったら…」
『当たって砕けろ』
そんな言葉が頭に思い浮かぶ。
曰く、ぶつかってこうなったのだから、もう一度ぶつかれば元に戻る…かもしれないし、戻らない…かもしれない。
昼間は信長様になりきることに必死で先のことまで深く考えられなかったが、さすがにずっとこのままでは拙いだろう。早く元に戻る方法を考えないといけない。
「一晩寝て起きたら戻ってるとか…は、ないですかね?」
それが一番ありがたいが、そんなに都合のいい話、さすがに楽観的過ぎるだろうか…
「どうだろうな…分からんが、取り敢えず今宵はこのまま寝るぞ」
「えっ…わっ…」
信長様はいきなり私の首に腕を回し、ぎゅっと抱きついた。
厚い胸板に感じる柔らかな肢体は『私』のものではあるのだが、頭がそれを受け入れられない。
「の、信長様、何を!?」
「ん?寝ると言っただろう?」
耳元で囁かれて背中がゾクリと痺れるように反応してしまう。
「っ…うっ…」
すりすりと身体を寄せられて触れ合ったところが熱を持って、かっと熱くなる。腰の辺りがズクッと重くなったような気がして、思わず悩ましげな声が漏れる。
「っ、あっ…信長さまっ…それ、だめっ…」
首筋に唇を寄せて、ちゅうっ、と強めに吸われると、擽ったいようなゾクゾクと震えるようなおかしな気分になる。
(首に触れられると、いつも以上に感じるのは信長様の身体だから…?)
「くくっ…今宵は互いに入れ替わったままで睦み合うか…なかなかに面白い趣向だと思わんか?」
「んっ…そんな…あっ…」
細い指先が袷の隙間から入り込み、厚い胸板に直接触れる。固く筋肉質な胸の小さな尖端に指先が掠めるように触れた瞬間、何とも言えない気持ちよさに身体がビクッと揺れてしまう。
夜着の裾を大胆に乱し私の上に馬乗りになった信長様は、躊躇うことなく腰紐に手をかけて一気に解いてしまった。
