第23章 怪我の功名
「確かに家康の薬は良く効くが…苦い。俺は、甘くて癖になる、こっちの薬がいい」
じゅうっと音を立てて首筋を強めに吸われ、甘い痺れが背を駆け上がる。
「っ…あっ…んんっ、やぁ…ダメっ…」
信長の身体が覆い被さってきて、耳元に熱い息がかかる。
それだけで身の奥がズクリと疼き、流されてしまいそうになる。
「の、信長様…ダメです。お怪我なさってるのに…今宵は安静にと…」
覆い被さる身体をグッと押し返しながら訴えると、信長は不機嫌そうに口を尖らせる。
その顔が不貞腐れた子供のようで、妙に可愛く思えてしまうのだけれど……
「っ…そんな顔されてもダメなものはダメです。酷くなったらどうするんですか?」
責めるように見つめると、信長は、はぁ…っとわざとらしく溜め息を吐いて……
「ならば貴様が奉仕せよ。俺が動かねば問題なかろう?」
「えっ!?そ、そんな…わっ!」
言うや否や、信長は朱里の身体を抱き起こし、抱き締めたままで褥にゴロンと横たわったのだ。
当然、朱里は足を広げて信長の腰を跨ぐような格好になってしまっていて…夜着の裾は大きく捲れ上がり足も露わになっていた。
「や、やだ…こんな格好、恥ずかしいです」
「安静にしろと言うのなら、貴様が動け。ここ数日、貴様と満足に触れ合えていない。限界だ、朱里。貴様が足りん」
「っ……」
大胆に求められて恥ずかしかったが、身体は正直に反応する。
お腹の奥が熱くなり、じゅわっと蜜が溢れ出るのを感じてしまう。
「朱里…貴様のこの愛らしい口で俺を癒やしてくれ。できるだろう?」
意味ありげに下から見上げながら、指先で唇の上をツーっとなぞられる。
それだけでひどく感じてしまい、ドキドキと胸の鼓動が収まらなくなってしまう。
更には、跨いだ腰の辺りに屹立する硬いものの存在を感じてしまい、いやらしい想像を掻き立てられる。
(っ…口でって…)
言われた意味を理解して戸惑っている間も、信長の指先は唇をふにふにと弄り続けている。
その行為は早くしろと催促されているようで朱里の心を落ち着かなくさせるが、こんな風に甘えてくれる信長が新鮮でもあった。
(自分からご奉仕するなんて恥ずかしいけど、信長様が喜んで下さるなら…)