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永遠の恋〜⁂番外編⁂【イケメン戦国】

第12章 武将達の秘め事③


とある日の夕刻

ここ安土にある伊達家の御殿の一室では、毎月恒例、武将達による飲み会が行われていた。
ただし、いつもと違うのは……


「さ、さ、御館様、まずは一献」

「……秀吉、近い」

膝が触れんばかりの距離ににじり寄り、銚子を傾ける秀吉に対して信長は露骨に嫌そうな顔をする。が、秀吉本人には全く伝わっていないようだった。

恒例の武将達による飲み会
いつもは、主君である信長は参加しない気楽な会であったが、今宵は例外であった。


「待たせたな。さぁ、用意できたぞ〜」

大皿を両手に持った政宗が部屋に入ってくると、途端に食欲をそそる良い匂いが漂ってくる。

「おぉ、美味そうだな!」

「こんなに沢山、見事なもんですね」

大皿の上には、調理された海の幸が美しく盛り付けられていた。

「おぅ、志摩の九鬼家から信長様へ新鮮な海の幸が大量に送られてきてなぁ。どれも新鮮そのものだが…今宵の目玉は、これだ」

そう言って政宗が皆の前に披露したものは……

「ほぅ…活きアワビか…大ぶりのものだな」

皿の上には殻付きの大きなアワビがいくつも置かれており、信長の言うとおり、活きたままの状態で運ばれてきたようだった。

「これほどの大きさのものは滅多にお目にかかれない。刺身も用意したが、これは焼き物にしようかと思ってな」

そう言うと政宗は、侍女に命じて武将達それぞれの前に焼き網の乗った七輪を用意させた。

「ほぅ…なるほど、これで活きたまま焼こうというのか?」

「はっ!踊り焼き、とも言うそうで…」

「……何だか、ちょっと残酷な気も致しますが…」

三成が困惑したように皿の上のアワビを見つめながら言う。

「海に面しておらぬ安土では、活きアワビなどそうそう食せるものではない。後学の為にも食っておけ、三成」

炭火が赤く燃える網の上にアワビが置かれるのを、信長は興味津々といった様子で楽しげに見ている。
元々、それほど食にこだわりがある方ではないが、珍しきもの、新しきものには、人一倍敏感な方である。
目の前で調理されたものを、その場で食せるとは実に面白い。
日頃の食事は、毒見やら何やらが必要で、些か味気なくも感じていた。


温まった網の上に置かれたアワビは、ジュジュッという食欲を唆る音を立てて……


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