第6章 伍 お館様
「はっ…」
血鬼術が薄れ二人の影が揺らぎ消えた
そして俺の前に白い羽織を来た女が立った
『人の弱味に漬け込んで、何が楽しい…』
術に掛かるよりも速く私に斬り掛かってきた
こいつ柱だな…
「ふふふ、恐怖に怯える顔を見ながら死に行く姿…とても素敵でしょう?…お前の首を持って行けばあの方が喜ぶわ!!!」
血鬼術 冥迷幻
私の目の前に父と母が現れた
(どうしてお前は鬼殺隊に入った…お願いだ、私を悲しませないでくれ)
(医者になってほしかったのにあんまりよ…)
『…』
「ほら、貴方の大好きな両親よ?早く同じ所へ逝きなさ…い?」
「!!」
雪の呼吸 壱の型 雪紐
ーーーーボトッ
『私の家族を侮辱するな』
木の上に居た鬼の首が落ちた音だった
女の太刀筋は一切の無駄がなく、目を奪われる程綺麗だった
「は?斬られたのか?あり得ない、私の首は鋼鉄のはずっ…あり得ない!!!!!」
鬼は消滅していった
『…大丈夫?』
「…助かった」
女は俺の目の前で立ち止まり、左腕のかすり傷を見つけると手当てをした
こんなのすぐ治る
いつもなら腕を払ってそう言えるのに
あまりにも悲しい顔をしていて、俺はそれを黙って見ていることしか出来なかった
『…自分が死ねば良かったなんて、思わないで』
「…見たのか」
傷口を見ていた女はこちらに視線を合わせた
『私達は、死んでしまった人達の命を…意志を繋ぐ使命がある。だから、そんな辛い顔しないで』
「!!」