第3章 弐 自分の未来
一人になってからと言うもの、水も喉に通らず
とにかく眠りに付こうと自室の襖を開けた
すると目の前には見慣れない羽織物が掛けられていた
全体的に白く、水色の雪の結晶が流れるように描かれているものだった
『綺麗…』
鬼が来なければあと数時間で私の誕生日を何事も無く迎える事ができた
そしてこの羽織を用意してくれていたのだ
父は既に私の未来を応援してくれていたのかもしれない
今頃父に暖かな手で撫でてもらい
母と勇紀からはおめでとうと私を抱き締めてくれていたのだろうか
何を考えようとも時を巻いて戻す術はない
私はその羽織を抱えながら眠りに付いた
せめて家族の夢を見せて欲しいと願いながら
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暖かい春の陽を浴びながら私は男と歩いていた
いつも男の顔は見えない
(ーーー、あの岩まで駆けっこしましょう)
(ダメだ、身体に障る)
(良いじゃないですか、ーーーとお散歩なんて、滅多に出来ないことです)
(………)
(ふふ、じゃあお先に行きますよ)
私は走って緩やかな山を上る
(おいっ、ったく仕方のない奴だな…)
渋々追いかけるように走ってくれた
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