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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第15章 無限列車の後


蝶屋敷で治療が行われた。

炭治郎も順調に回復に向かっている。

「煉獄さんのおかげだよ。煉獄さんが、呼吸の使い方を教えてくれたんだ。おかげで止血できた」

炭治郎は愛に話しかける。

愛の腕はボロボロで痛々しく包帯が巻かれていた。
そして、足にはギプスがはめられていた。

「愛の調子はどう?」

『うん、痛むには痛むけど、しばらく安静にすれば足は大丈夫だって』

愛は足のほうに目線を落とす。

「やっぱり、折れてたの?」

『うーん…あの時、グッて踏ん張って飛んだのがいけなかったみたい』

あははと、乾いた笑いをする愛。

「あのときの愛、かっこよかったよ。俺は何もできなかったから」

炭治郎は少し沈んだ調子で話す。

『仕方ないよ。炭治郎は怪我もしてたし、ヒノカミ神楽?が結構体にキてたんでしょ?』

愛は大丈夫大丈夫と励ます。

『ほら!最後のあの刀をぶんって刺したの!あれ、スカッとした!』

愛は興奮して、ぶんっと投げる真似をして、あいててっと痛がった。

「鬼にはあんな攻撃、意味ないけどね」

珍しく炭治郎が弱気である。

『…ううん、あの気概がよかったよ』

漫画で読んでいて、炭治郎の前向きさやひたむきな努力、真っ直ぐな言葉にどれほど救われたか
炭治郎がああ言ってくれたから、一緒に悲しめたし、一緒に悔しめた
そして、一緒に前を向けた
あなたはすごい人だ

「一つできるようになっても、また分厚い壁が目の前に立ちはだかるんだ。もっと強くなりたい」

『うん、だね!今はしっかり休んで、次の任務に備えよう』
二人でうんうん!と見合って、励まし合った。

「あ、そう言えば腕はどうなの?」

『あ〜…骨に異常はないらしい。でも…跡が残るかもって』

そのことを言うと炭治郎は少し悲しそうな顔をした。

「それは…辛いね」

『…ううん、言葉にはしにくいんだけど、幸せなの。これはわたしが頑張った証だから』

杏寿郎を一生懸命守ろうとした証。
その頑張りを証明するもの。

「うん、そっか!じゃあ、俺行くよ。また、見舞いにくるね」

炭治郎はくるりと向きを変えると、カラリっと耳飾りの音がした。

『うん、ありがとう』

痛む腕でひらひらと手を振る。
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