第12章 機能回復訓練
他愛のない話をしながら、機能回復訓練は続く。
体はほぼ回復したはずなのに、まだ勝てない
足りないものが多すぎる
炭治郎も同じように落ち込んでいた。
それでも二人は前を向いて歩いていくしかない。
訓練に来ていなかった二人が胡蝶から激励を受けて、やる気を出してきた。
やんややんやと訓練を行なっていると、そこへアオイがやってきた。
「愛さん、お手紙です」
アオイがスッと一枚の紙を差し出した。
『手紙…?』
開くと見覚えのある字だった。
杏寿郎様だっ!
愛へ
なかなか見舞いに行けなくてすまない
もう少しでひと段落する
一緒に屋敷へ帰ろう
短い手紙だったが、忙しい中したためてくれたものだった。
それを読んだ愛は心の中で、はい!と返事をし、俄然やる気を出した。
「愛ちゅあん、誰からのお手紙?まさか恋人とか?俺というものがありながらぁ??」
善逸が絡み出した。
「ちょっと善逸やめろよ、愛が困ってるだろ」
炭治郎が止めに入る。
『あ、え…ち、ちがうよ。炎柱様だよ。ほら、わたし継子だから』
てれてれ、あせあせと愛は恋人、という言葉に反応する。
「あれ?恋人じゃないの?…だって、匂いが」
「そうだよ。だって、音が」
炭治郎は幸せそうな甘い匂いだよ、といい善逸はあきらかに恋してる音だよね、と言ってきた。
ああああ!
この二人、そういうのわかる奴らだったぁ!
油断してた…
そんなにわたしわかりやすかったかな?
『あああ!いやね、そりゃね…継子だしね?杏寿郎様のこと尊敬してるよ?ほら!でもさ、柱だからさ!』
愛は慌てて、釈明するが、もう泥沼だった。
『…もうこの話、勘弁して』
半泣きになりながら、愛はそう乞うた。
そんなこんなで楽しくみんなと過ごしていると、なんとなく強くなっていくのを感じた。
全集中常中もできるようになり、瓢箪も割れた。
体も思うように動き、鬼ごっこもカナヲに一回だけ勝つことができた。
『うん、いい感じ!』
日輪刀を持っていないのに、以前よりもうまく技が出せるような気がした。