第11章 柱合会議
愛は普段なら細心の注意を払い、そのような矛盾が起きないように言動には十分気をつけていた。
しかし、あの戦闘の最中では、そこまで気が回らなかった。
それよりも何とかして早く助けてやりたい、何とかして被害を最小限に食い止めたい。
という思いが強かったのだ。
あのときはやむを得なかった
何とかわたしにできることを、と思ったら、あの言葉が出ていた
不自然なのはわかっていたが、わたしの力では到底無理だったので、人を頼ったのだ
その発言が、今、柱たちに不信感を抱かせている。
最近の隊士は程度が低いとか炭治郎が鬼を連れているとかでみんなピリピリしている。
「ド派手に聞くぜ、お前鬼と内通しているのではないか?」
話をまとめて、宇髄がみなの疑問をぶつけてきた。
「煉獄の聞くところによると、お前の出自ははっきりしない。俺はお前のことを信用しない」
木の上からするどい言葉が刺さる。
伊黒だ。
「みなさん、落ち着きましょう。愛ちゃんの話を聞きましょう」
蜜璃とは以前に会ったことがある。
炎柱の継子になったということで、蜜璃が会いにきてくれたのだ。
杏寿郎は少し不安そうな顔をして、押し黙っている。
師範である自分が口を出しても、何も解決しないということがわかっているからである。
もうここは本当のことを言うしかない
信じてもらえるかわからないし、頭のおかしいやつだとみんなに、杏寿郎様にも思われるかもしれないが
うまくいけば、たくさんの人が協力してくれるかも…
淡い期待を胸に、話し出す。
『実は…わたしはここの…はぅ』
喉がガッと締め付けられた。
誰にも触られていないのに、呼吸ができない。
不都合な真実をもみ消すような強さである。
これはまさに、愛に真実を言わせないための力。
その代わりに勝手に口が動く。
『わたしは…予知夢を見るのです。すべてはわかりませんが、うっすらと。だから、あのような言葉が出てきました。決して鬼と内通しているのではありません』
すらすらと自分の意思とは関係なく嘘を並べる。
勝手に喋らされている
わたしがこの世界は漫画の中で、それを読んだから知っている。だなんて話をさせないために
何か大きな力がそれを阻んでいる