第10章 初任務 那田蜘蛛山
初任務…やっと役に立てるのかと思うと嬉しい反面、終わりのない戦いが始まったのだと思った。
『全集中! 炎の呼吸 壱の型 不知火!』
初任務は思ったよりも呆気なく終わった。
怪我もなく終わったことについてはホッとした。
『終わった…』
まぁ、初めてならこんなものかと思った。
主人公の炭治郎みたいに、いつもいつも強い鬼に当たるわけじゃないのね、と少し拍子抜けした。
『これで、お家へ帰れる…』
移動に時間がかかり、2日家を空けている。
早く、杏寿郎に無事を知らせたい、そう思って愛は家路へ急ごうとする。
しかし
「カァーカァー!ミナミヘムカエ!」
鎹鴉が容赦なく次の任務を知らせる。
『へ?…ええ?もう次行くの?…お家へ帰らせてよぉぉ!』
愛の声がこだまする。
しかし、その願いは聞き入れてはもらえないらしい。
「ハヤク!ハヤク!」
そう繰り返しては突かれる。
『わかった!わかったから!』
本当に人使いが荒い。
こんなわたしみたいな下っ端で次から次へと任務が舞い込むのだから、柱の人たち…杏寿郎様はとてつもない忙しさなんだろう。
いつも涼しい顔で鍛錬を見てくださっていたが、想像を絶する忙しさだったに違いない。
帰ったらきちんとお礼を言おう。
愛はそう思いながら、鎹烏の導くままにひた走っていった。