第9章 色変わりの刀
履いているとだんだん見慣れてきた。
『うん、気をつけていれば、大丈夫だよね』
他にも身支度を済ませて、先程の刀を持ち、準備を進める。
そして、杏寿郎からもらった羽織を羽織って、完成だ。
『杏寿郎様!行って参ります!』
杏寿郎の部屋へと声をかけた。
襖がスッと空き
「うむ!玄関まで…送ろ…う」
愛の服装を見た途端固まった。
「何だこれは!あられもない!」
杏寿郎は少し顔を赤くした。
目の前に立っている愛のスカートを持って、下へぐっと伸ばそうとした。
『あ、杏寿郎様!』
愛のスカートは下がったが、今度はヘソ部分を杏寿郎へ見せてしまった。
「ん?っ!!あ、すまない!」
思わず、太ももを隠そうと思い、取った行動ではあったが、逆効果となってしまった。
『あ、その…短いですよね?試着をきちんとしておかなかった自分が悪いので…』
「あ、む…すまない」
杏寿郎は手で口元を隠し、明後日の方向を見ている。
「帰ってくる頃には新しい隊服を用意してもらおう」
『あ、はい。ありがとうございます』
何となく気まずい雰囲気が流れた。
それでも、行かねばならない。
『い、行って参ります!千寿郎くんとお父様によろしくお伝えください!』
「あぁ、わかった。行っておいで」
愛はパタパタと走り出し、煉獄家を後にした。
杏寿郎は一人、部屋に取り残された。
「継子とは言え、世話を焼きすぎだな。突然、衣服を触るだなんて。愛に対してはこんなことばかりだな」
はぁっとらしくもないため息をついて、空を仰いだ。
「愛、きっと戻ってこい」