第8章 告白
『わたしは…ずっと杏寿郎様のおそばにいますよ。いえ、いさせてください!』
ぱぁっと花が咲くように笑う愛。
「そ、そうか!うむ!これから共にがんばろう!うむ!話はこれで終わりだな!…ゆっくり休むように!」
杏寿郎はバツが悪くなったのか、慌てて部屋を飛び出していった。
『あ、え!杏寿郎様!?』
愛がそう言ったときにはすでに杏寿郎の姿はどこにも見当たらなかった。
『…伝わらなかった…いえ、あの言葉だけでは杏寿郎様はわからないのだわ。もう少しストレートに言わないと』
はぁ、と肩を落とし、再び布団に体を預けた。
告白失敗だ。
でも、杏寿郎様ったらあんなにも慌てなくてもいいのに。
わたしはどこにも行かないのに…なぁ…
途端に睡魔が愛を襲い、深い眠りに落ちた。
「…っ!先程のは何だ?体を動かしたときの動悸とは違う。なぜこんなにも鼓動が早い?」
杏寿郎は愛が出ていくのではないことがわかり、安心したが、先程の一連の行動について悔いていた。
愛の言葉に戸惑い、あんな風に独占欲丸出しで引き止めることになるとは自分でも驚きであった。
その上、愛の笑顔を見てから、そばにいたいと言われたときから、自分の鼓動がとても早く大きく聞こえることに戸惑いを感じていた。
「むぅ、不甲斐なし!鍛錬が足りぬ!」
そう言って、杏寿郎は力の限り走り出した。