第8章 告白
愛が目を覚ますと、見慣れた煉獄家の天井があった。
あ、帰ってきたのだ
と愛は頭で感じた。
体を起こそうとしたが、体が重く動かない。
モゾモゾとしばらく動かしたが、体を起こすのは諦めた。
『あれ…服も体もきれいに、なってる?』
確か、ボロボロのドロドロになって帰ってきたはず。
風呂に入って、着替えた覚えはない。
パリッとした清潔な寝巻き用の着物が心地よい。
「愛!目を覚ましたか!よかった!」
襖がザッと開き、聞き慣れた大きな声が聞こえた。
『あ…杏寿郎様…』
寝転がったまま、ポタポタと涙があふれた。
『わたし…がんばりましたよぉ…』
目を細め、なおとめどなく涙が枕を濡らす。
「うむ、うむ!よくがんばった!」
言葉短く、杏寿郎は愛の頭をポンポンとしたのち、撫でる。
愛の涙も落ち着いたころ
「愛に謝ることがある」
そう杏寿郎は言い出す。
先程よりは意識もはっきりし、体もどうにか起こすことができた愛は首を傾げる。
「この家に女手がいないというのは困ったものだな…」
ポリポリと頭をかきながら、少し顔を赤くする杏寿郎。
「帰ってきた愛をそのまま布団に寝転がすのはよくないと思ったので、申し訳ないが体を軽く拭き、着替えもさせてもらった…他の者にさせるのもどうかと思ってな」
愛はあ、あ…とパクパクと顔を赤くする。
『それは…お世話をおかけしました』
「極力体の方は見ないようにしていた!」
慰めなのか何なのかわからないが、直接的に言われると恥ずかしい。
『い、いえ…ありがとうございます…』
愛はますます茹で蛸のようになってしまった。
ぎょるるるる〜
愛のお腹から空腹を知らせる音が聞こえた。
『あ…ぁ…すいません…』
愛は腹を抑えて顔を俯かせる。
「…はっはっ!すまん!話より飯が先だな!持ってくるから横になるといい」
先程の少しの気まずさか少し和らいだ。