第7章 最終選別
またもやふらふらと今度は二体の鬼がやってくる。
どうやら言い合いをしているようだ。
「女だぁ…女だぞ」
「女は俺のものだぁ」
「んだと、早い者勝ちだろぉ〜」
愛はぞぞぞと背筋に寒いものが走った。
二体、どうする。
「じゃあ、二人で頂戴しようぜぇ」
二体の鬼は思ったよりすばしっこかったらしく、愛に同時に飛びかかる。
『…!全集中!肆ノ型 盛炎のうねり』
二体を一気に薙ぎ払った。
『…はぁ…はぁ…できた…』
調子良く三体の鬼を倒せたが、この疲労である。
一日目の序盤であるのに、いつもと違う実践、環境、緊張のせいで、ドッドッドッと心臓が脈打つ。
『これは…技を連発するのも考えものね。体力温存しとかないと…』
あと七日もあるのだ。
先は長い。
どうにか生き抜くことを考える必要がある。
『とにかく、東へ急ごう』
「わぁぁ〜…た、たすけてくれぇ」
叫び声が聞こえる。
その声を頼りに駆け寄ったみると、まさに鬼に喰われようとしているところだった。
『弐の型 昇り炎天!』
下から上へ弧を描くように襲い掛かろうとする鬼の腕を切り落とす。
『大丈夫ですか!?』
襲われていた人と鬼の間に入る愛。
「ひぃぃぃ…!」
助けたその人は腰を抜かしながら逃げていく。
『まぁ、それはそれで賢明な判断ね』
冷静に対処できるようになってきた。
呼吸の連発はきついけど、やるしかない。
『全集中 壱ノ型 不知火!』